個人的に超絶気になっていた Silca のチェーンワキシングシステム。
過去にもあれこれと記事にまとめています。


いつになったら日本国内での取り扱いが始まるのかなー、と楽しみに待っていたのですが、これがまーいつまで経っても取り扱ってくれません・泣

我慢堪らずに購入してしまいましたがな。
誰でも簡単にチェーンにワックス施工できる画期的なシステム(シルカ チェーンワキシングシステム)
チェーンワキシングシステムの何が凄いのか
ワックスは油分とチェーンにワックスを塗布する場合、最も難しいのが「完全に脱脂すること」です。
調べるといくらでも失敗談を目にすることができると思いますが、脱脂が不十分な状態でチェーン用ワックスを塗布すると、あっという間にワックスが剥がれてしまい音鳴りしてしまいます。
ちょっとやそっとの脱脂ではダメなのですが、その辺りを十分に理解せずに「ワックス系のチェーンルブはすぐに音鳴りして寿命が短い」みたいに勘違いしてしまう人がいる位ですから。
で、シルカさん、それを一発で解決する製品を発売しました。

それがシルカ ストリップチップです。
新品のチェーンに付着しているグリスを完全に分解してくれます。
但し、このストリップチップは125℃まで熱してあげないといけないのですが、その辺りを全てまるっと完璧に解決してくれるのが、チェーンワキシングシステム。

こちらになります。
今回は、実際にこのチェーンワキシングシステムを使ってチェーンにワックスを塗布してみましたので、一連の手順含めてご紹介したいと思います。
まず購入する前に知っておくべきこと
チェーンワキシングシステムを今回米国から個人輸入したわけですが、米国向けに販売されている製品となっている為、電圧は120V対応、コンセントは米国向けの三口コンセントとなっています。
周波数は米国は60Hzと、日本の関西と同じですが、我が家は関東在住ですので50Hz。但し、今時ワールドワイドで販売する製品については50Hz/60Hz両対応が当たり前となっており、チェーンワキシングシステムも両対応ですので、この点は問題ありません。
日本国内向けの正規品でない最大のデメリットがこの点になります。
120Vの製品を本来の性能で使う為には、変圧器を使用する必要がありますが、変圧器はかるーく諭吉レベルなんですよねー。
ここで「本当に個人輸入して購入してしまうのか?」について、相当悩みました。
無理して使った場合のデメリットは「本来の性能を発揮できない」「破損や火災に至るケースがある」の2点。
火災になっては堪りませんよね。
また、今回の製品のキモは、「125℃」「75℃」といった、ワックスがけに必要な温度をぴったりキープすることができる点になりますので、それこそ「125℃まで温度を上げることができませんでした」では、まったく意味のない製品になってしまいます。
で、悩みに悩んだのですが、我が家には屋外向けに125V対応のコンセントがあることから購入に踏み切りました。
日本の一戸建てだと、屋外向けに外壁に125V対応のコンセントが設置されているケースはよくあります。
これは、以下のような高負荷の100V機器を安全に使うことを想定して設けられていることが多いです。
- 高出力の電動工具(芝刈り機、電動ノコギリ、洗浄機など)
- 車の掃除機やカー用品(車庫・駐車場で使用)
- 屋外照明、ポンプ、イルミネーションなどの電気機器
- 簡易な電源供給(キャンプ道具や庭のDIY作業など)
こうした用途では短時間に比較的高い電流が流れることがあるため、125V対応のコンセントが使用されています。
但し勘違いしてはいけないのは、この125V対応コンセントはあくまでも100V製品向けであって、流れている電圧は100Vしかありません。125Vまで流れたとしてもコンセント、製品を故障させることがないよう余裕を持たせているだけ、なんですね。
その為、このコンセントを使うと「本来の性能を発揮することはできないかもしれないが、少なくとも故障、火災になるリスクは低い」ことになります。
あくまでも自己責任ではありますが、人身御供ということでポチッと購入しました。
事前準備(チェーン以外の駆動系を脱脂する)
チェーンそのものの脱脂はストリップチップが実施してくれますが、チェーンが触れるその他の駆動系については、脱脂が必要になります。

ディレイラーのプーリーについては、ケージを外してディグリーザーを使って完全脱脂。

チェーンリングについても、ディグリーザーを吹き付けた後、中性洗剤で洗って完全に脱脂しました。
私の場合、それ以前もワックス系のチェーンルブを使っていた為、比較的脱脂の難易度は低かったのですが、オイル系のチェーンルブを使っている場合は、ちょっと手こずるかもしれませんね。

チェーンワキシングシステムを組み立てる
組み立てるといっても、大した話ではないのですが。

チェーンを引っ掛ける赤いプレートは中央で二つに分割できるようになっていますので、ドライバーで組み立ておく必要があります。
また、事前にチェーンを専用のワイヤーフックに通しておいた方が、作業は円滑に進むかと思います。

こんな感じで準備は完了。
ワックスを溶かす
まずはスーパーシックレットチェーンブレンドホットメルトワックスを溶かします。
製品名、長いな・・・。

こんな感じで顆粒状になっていますので、こちらをざざざっ、とポット部分に投入します。

製品同梱のマニュアルには、ポット容器の上部20mm程度空く位までワックスを投入して下さい、と記載されています。
Web上のあちらこちらを読むと、300g〜400gくらい投入するようですね。ワックスが一袋500gですので、6割〜8割くらい投入する形になりますので、ケチケチせずにざざっ、と放り込みます。
そして、スイッチオン。
シークレットチェーンワックスがチェーンに馴染むのに最適な温度は75℃なのですが、ストリップチップは125℃で作用しますので、いきなり設定温度を125℃にします。

設定した後はすぐに「実際の温度」が表示され、これがポット内のワックスが温まるにつれて徐々に温度が上昇していく形になります。

温度上昇に連れて徐々にワックスが溶けていきます。

この状態で90℃くらいでしょうか。本当に、少しずつ少しずつ溶けていきました。
海外での使用レビューを見ると、10分程度で完全に溶けるそうですが、これが私の場合は30分くらいかかりました。(ちなみに、この日は気温18℃の屋外で作業しました)
おそらく、日本の100V電圧だった為、完全に性能を出し切ることができずに「時間がかかった」ものと推察されます。
但しこの間、製品本体はほんのり温かい程度、コンセントプラグに至っては冷たい状態でしたので、故障に至るリスクはなさそうですが、やはり電圧が低いことから想定以上に時間がかかってしまった模様。

時間こそかかりましたが、125℃まで無事温めることはできました。

ワックスも完全に溶解。
ストリップチップスを溶かす
続いてストリップチップを投入して溶かします。
これはものの数分で完全に溶けてしまいました。ワックスそのものが125℃まで熱されていれば、ストリップチップ自体はすぐに溶けてしまう模様。
新品のチェーンを投入
今回使うチェーンはスラムのライバル。

ストリップチップの製品仕様上、新品のチェーンを使うのが重要ですね。

投入。
この状態で30秒ほど軽く揺らします。ワックスが跳ねたりこぼれたりしないように注意しながら、ゆらゆら揺らしたり回転させたりします。
その後、125℃を維持した状態で10分間つけたままにします。
100V電源とはいえ、一度125℃まで熱してしまえば、その後の温度維持は特に問題ないようです。
10分経過後、再びゆっくりと30秒ほどチェーンを揺らしたりかき混ぜたりした後、チェーンワキシングシステムの設定温度を75℃まで下げます。
マニュアル上では、125℃から75℃まで下がるのに10分程度、と書かれているのですが、実際に計測したところ18分程度かかりました。
温度を下げる方向になりますので、こればっかりは電圧云々は関係なさそうですが。
さておき、75℃まで下がってしまえば、「それがワックス浸透に最適な温度」だそうで、すぐにチェーンを引き上げてしまって良いそうです。

この状態で10分〜15分冷ませば塗布は完了。
ワイヤーフックから取り外してOKです。

取り外した状態。ワックスが固まっている為、チェーンもカチコチです。
チェーンを取り付けて余計なワックスを剥がす
チェーンをドライブトレイに取り付けますが、まだまだワックスが固まってチェーン全体にこびり付いている状態になりますので、取り付けた後、ペダルを回して回転させます。
マニュアルによると、余計なワックスを剥がしてドライブトレイン全体が馴染むまでには、10分から20分程度はペダリングしてね、と記載されていました。
屋外で行うには良いのですが、もし屋内でローラー回しながら馴染ませるのであれば、余分なワックスが剥がれて飛び散りますので、タオルをチェーンの下に敷いてね、との注意書きも。
屋外ライドにそのまま出かけてしまうのが無難そうですね。
とはいえ、まずはざっくり馴染ませたいので、そのまま屋外で1分ほどペダルを回してみました。

細かく砕かれたワックスかすが付着してますね。

確かに、これは馴染むまでにはショートライドに出かけてしまった方が良さそうです。
後片付け
ワックス系で気になっていたのが、「溶かした後のワックスってどうなるの?」という点でした。袋に入ったままスロークッカーで湯煎して溶かす、みたいなやり方であれば、袋の中で固まったままなんだろうな、と想像はつきますが。
で、チェーンワキシングシステムの場合は、透明な蓋が付属していますので、チェーンどぶ漬け後は蓋をして冷えるまで放置することになります。

蓋には熱を逃す為の穴もついていますので、このまま放置で問題ありません。先にも書きましたが、本体が過剰に熱を帯びることもありませんので、安全性は高いですね。
で、その後時間が経つとこうなります。

綺麗に固まりました。

蓋をしたうえで、もともと製品が入っていた箱に収納して保管することができます。
この辺りは、専用品だけあってよく考えられていますね。
結論
どうだったでしょうか。
チェーンワキシングシステムとストリップチップの組み合わせは、確かに誰でも簡単にチェーンへのワックス塗布を可能にするもので、とてもよくできた製品だと思います。
日本国内向けにローカライズされていないが故に、加熱には想像していた以上に時間がかかるのがデメリットではありますが、ドライブトレインの脱脂作業だったり、フレームの洗浄、メンテナンスを並行して行うようにすればそこまで気にならないかな、と思いました。
正直、「本当に125℃まで温度が上昇してくれるのか!?」という点がドキドキでしたが、無事塗布完了できて安心しました。
あくまでも米国製品をそのまま日本国内で使用していますので、最後は自己責任、となってしまいますが、システムとしてはとてもよくできたものだな、と感じました。
ほんと、楽ちんでした。
シークレットチェーンワックス「だけ」を使うのであれば、汎用的なスロークッカーを使ってどぶ漬けしてしまえば良いと思いますが、「125℃で使う」ストリップチップまで併用することを考えるのであれば、システム全体を導入してしまうのが良さそうです。
毎回脱脂に苦労させられていましたので、個人的には大正解なお買い物となりました。
ちなみに。
ワックスを予め塗布したチェーンも販売されていたりするのですが、ここまでのお値段を出すのであれば、システム一式購入してしまった方がお安くつくかと思います。






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