シマノさん、後方互換性のない新ペダルを投入してきましたね。長期的には素晴らしいことですが、短期的にはユーザーにとってはあれこれ問題が起きそうです。
SPD-SLとは互換性のない新しいビンディングペダルを投入(SPD-SLR)

シマノは2003年以来「SPD-SL」をロードバイク用のビンディングペダルシステムとして展開してきましたが、今回新たに「SPD-SLR」を発表しました。ペダルとクリートをゼロから完全に再設計し、それに対応する新世代のサイクリングシューズも同時に展開しています。
スペックの比較(SPD-SL vs SPD-SLR)

まずは現行のSPD-SLと比較して何が変わったのかを確認してみましょう。
| 項目 | SPD-SL | SPD-SLR |
|---|---|---|
| Dura-Ace ペダル重量(公表値) | 228g | 227g |
| Ultegra ペダル重量(公表値) | 248g | 228g |
| Dura-Ace スタックハイト(ペダル高) | 14.6mm | 12.3mm |
| Ultegra スタックハイト(ペダル高) | 15.6mm | 13.3mm |
| クリート重量(ボルト込) | 71g | 55g |
| 嵌合(エンゲージメント)角度 | 15.5度 | 10.5度 |
| SPD-SLクリートとの互換性 | あり | なし |
| SPD-SLRクリートとの互換性 | なし | あり |
| ロングスピンドル(軸長)の選択肢 | あり | あり |
| SPD-SLシューズとの互換性 | あり | あり |
| SPD-SLRシューズとの互換性 | あり | あり |
基本的に、スタックハイトが2.3mm低くなった点が、最大のアピールポイントでしょうか。
ちなみに、主要各社のスタックハイトを比較するとこんな感じです。
| メーカー・システム名 | 代表モデル | スタックハイト (ペダル高) | 特徴・備考 |
|---|---|---|---|
| Wahoo SPEEDPLAY (スピードプレイ) |
Zero | 約 11.5mm(3つ穴アダプター使用時) 約 8.5mm(専用4つ穴シューズ使用時) |
市場で最も低い部類のスタックハイト。両面キャッチが可能。 |
| Shimano SPD-SLR (シマノ 新型) |
Dura-Ace (PD-R9300) Ultegra (PD-R8200) |
Dura-Ace: 12.3mm Ultegra: 13.3mm |
20年ぶりに刷新された新型。クリート構造を見直し、従来より大幅に低重心化を実現。 |
| Shimano SPD-SL (シマノ 従来型/105等) |
Dura-Ace (PD-R9100) 105 (PD-R7000) 等 |
Dura-Ace: 14.6mm Ultegra: 15.6mm |
長年親しまれてきたロードペダルの定番システム。抜群の耐久性と安定感。 |
| TIME (タイム) |
XPRO / XPRESSO シリーズ | XPRO: 約 14.7mm XPRESSO: 約 13.5mm ~ 15.1mm |
特有のしなり(フリーフロー)があり、関節や膝への負担が少ないエルゴノミクス設計。 |
スタックハイトに関しては、今回の刷新でTIMEペダルを突き放すことになりましたが、まだまだSPEEDPLAYには追いつけていないですね・・・。
ベアリングとスタックハイトの改善
先に触れたように、新システムの最大の目玉は、クリートの刷新によりスタックハイトが従来比で約2.3mm低くなった点ですね。ワッシャーが廃止された新しいクリートと組み合わせることで、ペダル、クリート、ボルトの総重量もシステム全体で軽量化されています。

海外では早速レビュー記事など上がっていますが、実際に試乗したテスターによれば、このわずかなスタックハイトの低下によってサドル高を数ミリ下げる必要があったものの、ペダルとのダイレクトな一体感(パワー伝達や安定感)は「これまで試した中で最高の部類」に属し、Look Keo互換のパワーメーターペダルなどで感じられるようなわずかなグラつきや遊びが一切ないとのことです。
私はSPEEDPLAYのペダルを愛用していますが、スタックハイトが低いと本当に走っていて気持ちが良いんですよね。上り坂で特にその恩恵を感じることが多いです。

あと、新しいペダルはクリップインもしやすく、ペダルが自然と良い角度でぶら下がるため入りやすい設計になっているとのこと。
実はこのクリップインし易い角度への重心変更等は、地味に利便性の向上につながっていそうですね。
懸念事項
性能が優れている一方で、SPD-SLRシステムの最大の弱点は「クリートの前後(前後のスライド)調整幅がほぼ無いこと」となっています。
スタックハイトを削ってダイレクト感を生み出す代償として、従来のSPD-SLクリートにあったような前後の位置調整マージンがほとんどなくなってしまった模様。
当然、シマノの新型純正シューズ(S-Phyre RC910やRC810)では、この調整幅の狭さを補うためにソールの調整範囲が広くとられていますから、純正のシューズと組み合わせる限りは問題になることはないでしょうね。

実際に海外のレビュー記事では、新型のS-Phyre RC910シューズではギリギリ好みの位置に合わせられたものの(一番後ろまで下げてようやく合致)、愛用している他社製シューズ(Specialized S-Works 7 Lace)では、後ろ方向への調整幅が足りず、好みの位置にクリートをセットすることができなかったと報告されています。
特にSpecializedなどのシューズは連続的なスライド調整ではなく、位置を反転させるタイプの固定式Tナットを採用しているため、SPD-SLRとは非常に相性が悪いとしています。
シマノ純正シューズ以外を使いたい場合は、各社シューズとの相性についてのレビューが上がるのを待ってから購入判断した方が良さそうです。
おそらく、この辺りの各社相性問題は今後数年で徐々に解消されていくとは思いますが、地味にストレスなんですよね。
ただ、この手の「シューズとの相性問題」については、例えばSPEEDPLAYでも存在する問題でして。
こちらも純正の四つ穴シューズで使えば問題ないのですが、汎用の三つ穴シューズにアダプターをかまして使う場合には、シューズ底面との隙間を埋めるパーツを使って問題なく使えるものもあれば、あまり相性がよくないシューズもあるようで。
私も初期セットアップ時にアダプターの調整に失敗した際には、クリップイン・アウトがし辛く感じたり、ちょっと苦労しました。

シューズの相性があるなんて!と思う人もいるかもしれませんが、今までが恵まれていただけ、という見方もできるわけで。
とはいえ、早速手を出そうとする人は、ちょっと注意した方が良さそうです。









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