【比較レビュー】シマノ105 Di2 vs SRAM Rival eTap AXS

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日本国内ではあまりお目にかかれない SRAM vs シマノの比較レビュー。
そりゃ、日本はシマノのお膝元。
何かしら特別な理由でもない限り、シマノ以外のスラムやカンパを選ぶ必要はないですよね。

105 も12速化、電動化されたこともあり、先行していた SRAM Rivalと直接比較することができるようになりました。

今回はそんな比較記事を紹介したいと思います。

 

■ ロードに特化した 105 vs 多用途に対応できる Rival

 

1. SRAM Rival vs シマノ 105

現時点では新型105は Di2しか提供されていませんが、近日中に機械式の105も発売されると言われています。
8年前に発売された Rival22以来機械式コンポの更新が一切行われていないスラムとは違いますね。

スラムは電動コンポに資源を集中しています。

 

 

(1) 重量と価格

まずは重量と価格について。

 

重量 海外価格 国内価格
シマノ105 Di2 2,995g 1890ドル 約160,000円
スラムRival 3,209g 1420ドル 約200,000円

 

国内価格は楽天でのグループセット価格を参考までに載せています。

重量はシマノ105が軽量、加えて実勢価格は日本国内だとシマノの方が安価。
この時点で、特別の理由がない限りシマノを選べば良いよね?という結論になりそうです。

 

 

(2) ワイヤレス機構

電動化で先行するスラムと、ようやく追いつきつつあるシマノ。
スラム Rival は上位グレードの Red / Forceと同じバッテリー、モーターを使用しています。フロントディレイラー、リアディレーラーは完全に独立していて、シフターと完全ワイヤレスで接続します。

 

対してシマノはセミワイヤレス。
シフターがリアディレイラーとワイヤレスで通信し、RDはメインバッテリーとFDに配線され、電力とフロントシフトを供給する形。

 

機構としてどちらが優れているかと問われれば、それはスラムではないでしょうか。

 

 

(3) シフター

  • 105のデザインはアルテグラ、デュラエースと同じ。フード上部に補助ボタンがなく、サテライトシフターを接続することもできない。
  • Rivalは機能的にはForce/Redと同じ。シフターの形状は、Redよりも丸みを帯びておらず、手の小さなライダーにも使いやすい角ばったデザイン。ワイヤレスリモートシフターとペアリングが可能。
  • Rivalのシフトボタンは105のものより大きいのでシンプルに使いやすい。また片側に一つしかボタンがない為、手袋をしたままでも操作性が高い。
  • フード形状は105の方がスリム。

私も手が小さい人間なのですが、SRAM Rival のフードは本当に握りやすくて良いです。
ただ、105 はそれよりもさらにスリムだそうで。
あまり105 を選ぶような人でリモートシフターを使いたい、みたいな人はそこまで多くないと思いますが、TTバーを取り付けてトライアスロンに挑戦したい!みたいな人にはリモートスイッチを拡張可能な Rival の方が良いかもしれませんね。

 

 

 

(4) クランク&スプロケット

 

  • SRAMには10-36のカセットがある為、どのクランクセットを使っても1:1以上のワイドレシオを実現できる。最も低いギアだと、43/30Tと36Tの組み合わせで、バイクパッキングで重くなったバイクでも峠道を走ることができる
  • さらに低いギアリングを必要とする場合、1Xチェーンリングでセットアップし、XPLRリアディレーラーと10-44Tカセットを選択することもでるし、Eagle 10-52Tカセットを選択することも可能
  • ハイスピードを重視する場合もSRAMはギアレンジでシマノを凌駕。SRAMの48×10Tは、105の52×11Tよりも数インチ差で上回っている。裏を返すと、クロースレシオを望むのであれば105の方が使いやすい

普通に日本の公道を走る限りは、1:1のギア比があれば十分だと思いますが、レビューにもあるように「荷物を積んだ上り坂」を想定するのであれば、SRAM は良い選択肢になりそうです。

 

 

(5) バッテリー

 

  • 105は中央のバッテリー一本を充電すれば良いが、内蔵バッテリーである為、充電のためにバイクにプラグを差し込む必要がある。バイクの保管場所に電源タップがあれば良いが、そうでない場合は充電箇所まで移動させる必要があり面倒なことになる
  • Rivalは前後個々のバッテリーがディレイラーに電力を供給する為、2Xであればバッテリーが二つ必要。充電に関しては二つのバッテリーを充電する必要がある
  • 105のバイクだと、数ヶ月に一度の充電で済むが、SRAMのバッテリーは通常2-3週間ごとに充電する必要がある
  • SRAMは充電のためにバイクを移動させる必要がなく、バッテリーは簡単に取り外し可能。予備のバッテリーを携帯することも容易
  • 両システムともワイヤレスシフターにはCR2032電池を採用。シマノはシフター一個につきCR2032電池を2個使用するため、Rivalで約一年、105はその倍近い使用期間を期待できる。両システムともに、ボタンを押すだけでシフターの電池の状態を簡単に確認可能

個人的に、バッテリーに関しては SRAMの方が優位性があると考えています。バッテリー持続時間としてはシマノが優れているそうですが、私のような週末ローディーであれば、充電頻度はせいぜい1ヶ月に一度でしょう。
日に一度は充電するスマホ、週に一回以上充電しないといけないスマートウォッチなどに慣れていると、むしろ「1ヶ月保つなら十分じゃね?」と思ってしまいます。

それ以上に、充電の為にコンセントに近くに移動させる、もしくは延長コードを引っ張ってきて充電するという手間の方が煩雑に感じてしまいます。

シマノの「バッテリー一本」という点も、充電箇所が一つで済むというメリットにもなりますが、反面そこで故障が起きると前後ともにシフト不可能になるわけで。
故障を想定する場合、前後で機構が別れている方が何かと対処し易いのでは?と感じています。

 

 

(6) アプリ

 

  • 両システムともにスマホアプリを使って設定が可能。デザインこそ異なるが、機能はほぼ同じ。


シマノもようやくスマホアプリで設定できるようになりました。
この辺りはようやくシマノがスラムに追いついた、といったところでしょうか。 

 

 

(7) シフト性能

 

  • リア変速については、105はRivalよりもほんの少し速いと思うが、Rivalが遅いかというとそんなことはない。105の方がキレがある感じ
  • フロントディレイラーの性能に関してはシマノの圧勝。シマノはオートトリム機能があるため、どんなギアコンポでもディレイラーをチェーンから遠ざけておくことができるため。SRAMは、大きなチェーンリングと最大のリアカセットの組み合わせだとノイズが出てしまう
  • フロント変速も105の方が速い。105は迅速で確実

こと変速性能に関しては、シマノに軍配が上がるようですね。
コンポーネントの性能に関しては、この「変速性能」を最重要視する人も多いのではないでしょうか。

何より、一番わかり易いですしね。

「軽量で安く、変速性能も高い」となったら、それだけで「シマノ105勝利」と判定する人がいてもおかしくありません。

そういったマーケットが重視する点をきっちり押さえてくる辺り、シマノは上手だと思います。

 

 

(8) ブレーキ

 

  • (レビュワーは)シマノのブレーキの感触が好き。シマノのブレーキは明確なフィーリグがあり、より鮮明なフィードバックがあり自信をもって操作できる。SRAMのブレーキは、レバーを操作したときの感触が曖昧に感じる
  • 制動力そのものについては、いずれも素晴らしい。レバーを強く引けば、どちらも十分な制動力がある。Rivalのレバーは緩やかで滑らかなレバーフィール。105はオンとオフのメリハリが効いている感じ。ライダーの好み
  • ブレーキ音についてはSRAMが圧勝。一般的に、SRAMのロードブレーキは、非常に長く急な坂道で強くブレーキをかけた後でも、静かなまま。105のブレーキ音は小さいが、より頻繁に音鳴りが発生する

この「シマノの方がスラムよりもブレーキフィールが明確」というのは、リムブレーキの時からよく聞く話ですね。
設計思想の違いなんでしょうか。

制動力そのものについては大差ないということなので、この辺りのフィーリングは人それぞれ、好き好きといったところでしょうか

 

 

2. シマノ 105を選ぶべき理由

  • 105はロードバイクのニーズに特化したグループセット。早く、正確なシフトチェンジを望むなら105は最適。
  • 105は伝統的なギアレンジで一般的なライダーには馴染みやすい
  • ロードバイクで早く走りたいなら105にしておけば良い

とってもシンプルでわかり易い構図になりました。
「ロード」バイク用のコンポとしては、シマノ105を選んでおけば間違いないようです。

私も機械式ではありますが、シマノ105に乗っていましたので、この感覚はよくわかりますね。
ほんと、105って良いコンポですよね。

 

 

3. SRAM Rivalを選ぶべき理由

  • 105がロードバイクに特化したグループであるのに対し、Rivalはさまざまなスタイルのバイクに対応可能。クランクやカセットが豊富でギアレンジが広い。RDにはクラッチが内蔵されているため、オールロードはもちろん、グラベルバイクにも対応可能
  • 2Xから1Xに変更することもできるしその逆も可能
  • ドロッパーシートポストにも対応
  • こういったオプションが魅力的だと思うならRivalがおすすめ。105はハイペースなロードライディングに集中するライダーには性能面で有利かもしれないが、Rivalはロードレーサー以外のすべてのライダーを満足させることができる

こうやって比べてみると、コンポーネントとしての性能差よりも、各社製品の狙うセグメントが違うようにも見えますね。

ロードバイク向けのコンポーネントとして着実に進化を続けるシマノ105。
いち早く電動化に舵を切り、世界的な「オールロード」「グラベル」といったニーズにも目を向けることで、常に新しいUXを追求し続けるスラム。

そりゃ、性能だけでシマノに真っ向勝負を挑んでも限界がありますからね・・・。

そういった意味で、「刺さる人には刺さりまくる」というのがスラムなんだな、というのがよく理解できた気がします。

 

 

コメント

  1. たかにぃ より:

    以前も書きましたが、シマノのコンポ不足の影響で周りにSRAMユーザー増えました。
    Forceも新型の評判が良く、早速入手に動く人が出ています。
    シフト、前後別受信なのも変速漏れが多い原因ですが、漏れたらもう一度やれば良いだけの話なので、そこまでシビアに突き詰めなくても良いかと思います。
    ツールドフランスなどの山岳ステージでも28Cや30Cタイヤが使われたりドロッパーシートポストが使われたりと、ロードバイクがMTBへ寄ってきているので、MTBでシェアの高いSRAMは益々のびるでしょう。

  2. より:

    今、リカンベントQTRにドロップハンドル移植を真剣に検討中の自分には、まさに欲しかった情報です。(⌒‐⌒)✧.*・゚✧.゚・*.
    ドロハンにSTIレバーが慣れ親しんだハンドル形状で、ミラーもロードバイク用バーエンド式が流用出来て最適です。
    サテライトスイッチも色々な場所に付けられそうで、これで以前買おうと検討中だった、ドロハンリカンベント実現が
    成功しそうです。
    情報ありがとうございます。(^-^)/
    サテライトスイッチはリア変速を左にして、ブレーキを使用しながら、左手で変速とかを構想中です。

  3. おとーさん より:

    >たかにぃさん
    シマノ一強だと業界の進歩、ひいては消費者としてプラスではありませんから、sram
    には頑張ってもらいたいところです。

  4. おとーさん より:

    >♪さん
    確かに無線のサテライトスイッチは、リカンベントと相性良さそうですね!
    ギミック大好き人間としては、一度使ってみたいですね。

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