結論は「だよねー」というものでしかないのですが。

私がロードバイクを始めた頃は、「最もコスパの良い軽量化は何か?」みたいな話が多かった気がします。

軽量化が一番重要、という風潮でしたね。

それが今はエアロ至上主義。

科学的なデータも添えられていたりしますので、その通りなのかとは思いますが。
私のような週末ローディーからすると、できれば「時速28〜30km」という設定で、エアロと軽量化をトータルで比較したテストとかあると嬉しいんですけどね。

さておき。

風洞実験でエアロ性能を「コスパ」という側面から検証した記事がありましたので、今回はそちらを紹介したいと思います。




 





■ 最もコスパの良いエアロ性能向上方法は何か?



1. 検証条件

まずは検証条件から。

  • 専用の風洞設備で検証
  • より「一般的な」ライダーを意識して、時速35kmで実験を実施
  • 現実世界を念頭に、ヨー角については、真正面からの風を意味する0°の他に、斜めから吹き付ける風となる+5°、+10°それぞれでデータを記録

この辺りは「良し悪し」の問題ではなく、条件を一定に揃えることが重要だと思っていますが、今回は時速35kmという条件が良い(有り難い)ですね。

この手のエアロ実験は、往々にして時速45kmとか、かなーりレース志向の高いものになりがちですから。
そりゃ、時速を上げれば上げるほど抵抗も高くなりますから、高い効果をアピールし易くなるわけで、メーカーなんかだと早い速度に設定しがち。
私のような週末ローディーには、より身近に感じられる検証データはとても有り難いです。

続いて、車体の条件。

  • スペシャライズド S-Works Aethos
  • ホイール:マビックアクシウムディスク
  • タイヤ:コンチネンタルGP5000 TL / 28c
  • ウェア:Sportful のジャージ&ビブショーツ
  • ヘルメット:Lazer Genesis
  • ハンドルバー:40cm幅、非エアロ(丸型)
  • ソックス:一般的なサイクリングソックス
  • ポジション:ブラケットポジション

S-Works Aethos ということで、その点はあまり庶民的ではないですが、「非エアロ」なフレームという点では、より身近に感じられるデータかな、と思います。 



2. 検証結果

それでは早速結果から。
費用対効果の低いものから高いものへと降順で並んでいます。


コスト 削減効果 1W削減する為のコスト
スピードスーツ ¥62,700 3.69W ¥16,978
エアロホイール ¥158,268 10.17W ¥15,568
エアロソックス ¥4,488 0.33W ¥13,608
エアロヘルメット ¥39,600 7.56W ¥5,236
ハンドルバー(36cm) ¥3,300 2.43W ¥1,360
TTハンドルバー ¥18,480 31.33W ¥590
エアロポジション ¥0 22.38W ¥0


それでは、以下順を追って見ていきたいと思います。 



第7位:スピードスーツ
ライド中、ライダーの体が全面投影面積の70-80%を占めることから、スピードスーツに変えることでエアロ効果は高くなると思っていたのですが、結果は 3.69Wの削減ということで、そこまで大きなものではなかったようです。
ただし、60km走れば30秒の短縮には繋がる為、レースにおいては一定の効果があります。
比較対象が「ごく普通のアウトドアウェア」であれば効果は大きいのでしょうが、ロードバイク用のジャージ、ビブショーツとの比較となると、そこまで大きな差にはならないのでしょう。 



第6位:エアロホイール
比較対象となったホイールは、Hunt 54 Carbon Disc。立派なディープホイールですね。
比較対象のマビックアクシウムからディープリムとなっただけでなく、重量にして300g軽量化されています。
約10Wの削減は大したものですが、時間にすると60km走って36秒。
レースでは立派な数字になりますが、週末ローディー的には決してコスパが良い数値ではありませんね。


以前も「エアロホイールの効果は?」という記事を紹介させて頂いたことがありますが、レース志向でない限り、実はそこまでエアロ追求しなくても良いのでは?と感じています。





ま、ディープリムは見た目の満足感が高いので、それだけでも「価値がある」と言えるのですが、それはまた別の価値観のお話ですね。



第5位:エアロソックス
テストに使われたのは イギリスの Rule28 エアロソックス。日本では未発売のようですね。費用対効果の換算に関しては、直近の為替で計算しましたが、オンラインで購入しようとすると 4,700円だそうです(別途送料要)。オリンピック選手も使っているとのことで、かなりお高いソックス。




 
公式は「一般的なソックスと比較して12Wの削減効果がある」と謳っているそうですが、今回の風洞実験では、一般的なサイクリングソックスとの比較では 0.33Wの削減効果でした。検証条件が色々と違うことから、どちらの検証結果が正しいか、という点については元記事を辿って頂ければと思います。

削減効果としては決して大きくありませんが、コスパ、という点からはエアロホイールよりも上の結果となりました。 



第4位:エアロヘルメット
検証に使ったのは Lazer Vento KinetiCore。
















 
公平を期すために同じブランド間の別製品で比較した形になります。
60km走ったら1分半の差が出るそうで。
レースではすごい差ですよね。
時速35kmで 7.56Wの削減となると、私でもその差を実感できそうな気がします。
もともとFTPの高い人であれば相対的にその差は小さくなるかもしれませんが、私のようにFTPが低い人間からすると、約8Wの削減って、かなーり大きいんですよね。

ただ、今回の記事では削減効果としてのコスパはそれほど良いとは受け止めていないようで。
もっとゆっくり走る人や暑い日、峠を走る人であれば、もっとベンチレーションが多いヘルメットの方が快適だよ、とコメントしています。 



第3位:ナローハンドル
36cm幅のナローハンドルが第3位。製品的には「エアロ」を謳ってはいますが、形状的にはエルゴハンドルっぽくて、そこまでエアロっぽくはありません。




 
お値段約3000円のアルミハンドルということで、42cm幅だと340g。
それでも、40cm幅を36cm幅に狭めると、2.43W削減できるそうです。

うーん・・・。
削減効果は大したことありませんが、お値段が安いのでコスパは良い、という話になっています。
記事では、絶対値として36cm幅に変えることは推奨しておらず、今のハンドル幅よりも2段階ほど狭いものに変えることを推奨しており、その程度であればナローハンドルにすることでの違和感もそれほどではないとされています。
ただ、競技志向なら良いとは思いますが、私のような素人レベルだと、ナローハンドルにすると操作がクイック過ぎたり、通常のブラケットポジションでの疲労とか、トレードオフが多そうな気がしますね。 



第2位:クリップオンエアロバー
第2位は後付けするタイプのTTバーでした。
Deda Parabolica Uno。
こちらですね。


















約30Wの削減って、半端ないですね・・・。
60km走ったら6分短縮できるそうです。
こういったエアロバーは安いものを探せば色々と出てきますから、本当にコスパは良さそうです。
ただ、車通りの少ない田舎道では良いのでしょうが、東京・神奈川の公道がメインとなる人間からすると、ちょっと手が出ないんですよね。
一度経験してみたいな、とは思っているのですが。 



第1位:エアロポジション
映えある第1位は、お金のかからないエアロポジションでした。
身も蓋もない・・・。

削減効果は22.38W。
60km走ったら約4分半の差が出ます。

具体的には、ブラケットフードの先端を上から掴んで肘を約90°まで曲げる、レースでよく見かけるポジションとなります。

フード先端を上から掴むと、段差が前輪が跳ねた時に手が滑りそうで私は怖くてやりませんが、ごく普通のブラケットポジションで、肘を90°まで曲げる走り方は、逆風の時にはよくやります。
実際に何W削減されるのかは分かりませんが、明らかに逆風の影響が減って楽になるんですよね。

個人的には、下ハンを握って走るよりも、ブラケットのまま肘を曲げるポジションの方が楽なもので、好んでよくやるポジションだったりします。

確実に効果もあり、お金もかからないわけで。
そりゃ最高ですよね。

業界的にはそれでは1円にもなりませんから(汗)、エアロバーは良いよ! ホイールはエアロだよね!という話が多くなるのでしょうが、忖度なしに検証してしまうと、エアロスーツもエアロソックスも、ばっさり一刀両断される結果となりました。

ある意味納得ではありますが、意外性のない結果になってしまいました・・・。


 



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