気がつけばロードバイクで骨伝導イヤホンを使い始めてから3年が経過しました。
ここ2年は SHOKZ(旧After Shokz)のAEROPEX を使い続けてきましたが、満足して使っています。





昨年からはバラクラバを着ける冬場だけは ambie TW-01 を使うようになりましたが、音質や電池保ちなど総合力では未だに AEROPEX を超えるには至っておらず、ロードバイクにおける「耳を塞がない」イヤホンとしては孤高の存在だと思っています。

そんな中、AEROPEX の後継とも言えるフラッグシップモデルとして、先日発表されたのが OPENRUN PRO。




まずはクラウドファンディングからスタートしたようですが、予想通り募集は大成功だったようで。
3月に入ってから一般販売も開始されました

しかも、今なら1つ買うともう1つが無料になったり、割引クーポンが当たるキャンペーンも実施しているそうで。
クラウドファンディングでお安く買う機会を逃した人にも、こういった形でお得感を演出するのは消費者にとっては有り難いですね。

ということで、今回は AEROPEX と OPENRUN PRO を比較レビューしてみたいと思います。
 





■ SHOKZ OPENRUN PRO は間違いなく骨伝導イヤホン最高峰モデル




1. 外観レビュー

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公式サイト上でも AEROPEX との比較表が載せられています。
先日の記事でも個人的に感じた仕様上の比較はまとめていますので、スペック的なことはそちらをご覧頂ければと。


まずは外観から見ていきたいと思います。


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箱を開封すると、ケースがごろっと出てきます。


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ケース内部には溝が切られていて、イヤホンがすっぽり収まっています。
ケース裏側のバンドに留められているのは専用の充電ケーブルですね。


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パッと見ただけだと、AEROPEX かな?と思うくらい似ていますが、ロゴが SHOKZ に変わっています。
全体として20%の小型化を実現したということですが、もともとAEROPEX も十分コンパクトでしたので、横に並べてみないと気づかない位です。


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30% 大きくなったファンクションボタン。
AEROPEX のボタンでもそれほど不便することはありませんでしたが、フルフィンガーグローブで使う時には、少しでも大きい方が誤操作が減りますので、大歓迎。


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こうやって比べてみると、ヘッド部分はむしろ OPENRUN PRO の方が大きくなっています。


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ボディ部分(?)は OPENRUN PRO の方が小型化しています。


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低音強化の為でしょうか、スピーカーの様なメッシュ部分が前・後・下の3箇所に存在しています。

防塵防滴性能は IPX67 から IPX55 に下がっているのは、この辺りが原因でしょうか。


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頭の後ろに回す「つる」の部分は特に太さに変更はなさそうです。


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電源並びにボリュームボタンも大型化しています。
これも地味に便利です。

今回急速充電対応となりましたが、充電ケーブルをマグネットで接続するパーツは AEROPEX から変更なし。

但し、端子部分は AEROPEX が下側にあったのに対して、 OPENRUN PRO は後方部分に斜めに配置されました。

特に充電時に便利になった、不便になったといった違いはなさそうです。 



2. 動作音の変更

動作音については、TITANIUM から AEROPEX に変わった時に日本語化されていたり、声もがらりと変わったりしていましたが、AEROPEX から OPENRUN PRO への変更は小さめでした。

メッセージに変わりはなさそうですが、女性の声は微妙に変わってまして、少し落ち着いた声質に変わりました。少し大人な雰囲気に。
個人的には、OPENRUN PRO のアナウンス音の方が好みですね。 



3. 音質レビュー(室内編)

それでは早速室内で、取っ替え引っ替え視聴してみましたので、音質がどのように変わったのかを見ていきたいと思います。 



(a) 音量レベル
iPhone で比較したところ、音量レベルに関しては違いが分かるほどの変更点はありませんでした。
TITANIUM と AEROPEX では明らかにボリュームレベルが1段階ほど違いましたが、AEROPEX と OPENRUN PRO ではボリュームレベルを揃えると、聞こえる音量もほぼ同じとなりました。 



(b) 全体的な音質の傾向
一聴して分かるのは「中低音の厚みが増した」「重低音が聞こえるようになった」という点になります。
この辺りは今回の製品発表においてもアピールされていたポイントになりますが、看板に偽り無し、です。

骨伝導イヤホンは、どうしても「フルオープン」という特性上、低音域がスカスカになりがち。そんな中 AEROPEX は骨伝導イヤホンの中ではかなり奮闘している方だとは思いましたが、OPENRUN PRO を聴いてしまうと、歴然とした違いがあります。

分かりやすく例えるなら、「OPENRUN PRO は普通のイヤホンと同レベル」の低音再生能力になりました。

個人的には好きではありせんが、重低音寄りのイヤホン・ヘッドホン好きな人にとっては「まだまだ足りない」と言われると思いますが、普通の重低音再生で満足できる人であれば、OPENRUN PRO は十分満足できる低音再生能力になりました。

分かる人が少ないかもしれませんが(汗)、オープン型ヘッドホンのフィリップス Fidelio X1 を聴いた時に「なんじゃこの低音は!」と驚いて衝動買いしたことがありましたが、その時と同じ衝撃を受けましたね。

骨伝導イヤホンでこの低音って、すごいです。

TITANIUM も低音はそこそこ出る方でしたが、どうしても「ブーミー」な音になってしまい、高音域、中音域とのバランスが悪かったんですよね。
OPENRUN PRO は全体の音域レベルがきちんと揃えられていて、本当に「ごく普通に低音から高音までバランス良く鳴る」イヤホンになりました。




(c) 音漏れ
低音域が鳴るようになったことと、いかにも「このメッシュから低音鳴らしてます!」みたいな構造をしていることから、AEROPEX よりも音漏れが大きくなったのでは?と思っていましたが、比較してみてもそれほど違いはありませんでした。

耳から外して10-15cm離した状態で音楽再生を続け、音漏れの程度を聞いてみると、AEROPEX と OPENRUN PRO はほぼ同レベル。あえて甲乙つけるとするならAEROPEX の方が音漏れは若干少ないかな?という些細な違いレベルでした。 



(d) 振動
他方、振動に関しては明らかに OPENRUN PRO の方が大きくなりました。
TITANIUM を使っていた時、AEROPEX よりも低音は出るものの、振動が大きく、長時間使っていると肌ストレス(ぴりぴり感)が増して聞き疲れし易かったのですが、OPENRUN PRO も低音が出るようになったことのバーターとして、振動は大きくなってしまいました。

但し、TITANUIM ほどの大きな振動はありませんし、そこまで我慢できない程ではありませんでした。

ただ、何時間もぶっ続けで重低音マシマシな楽曲を聴き続けるのであれば、気になる人は出てくるかもです。
ま、そんなにぶっ続けで聴くのであれば、普通のイヤホンでも聞き疲れすると思いますが・・・。 



4. 個別楽曲毎の音質傾向

それでは、楽曲ジャンル毎のインプレをつらつらと書き連ねてみたいと思います。 



(a) J-POP(女性ボーカル)
  • 中音域から高音にかけては AEROPEX も OPENRUN PRO もほぼ同じ音質。ボーカルはどちらもくっきりはっきり表現していて、楽しく聴ける
  • 低域(ベースやドラム)は明らかに OPENRUN PRO が厚みがある為、比べてしまうと AEROPEX は若干音が軽く聴こえてしまう。但し、バスドラムがばすばす響く曲でないとそこまで大きな違いにはならないかも。AEROPEX で不満か?と問われると、骨伝導でこれなら十分でしょ?とも思える
  • 但し、OPENRUN PRO を聞いてしまうと、明らかにこちらの方が音質は良いし、楽しく聴けるというのは事実。OPENRUN PROならごく一般的なイヤホン(数千円クラス)となら互角で戦える
  • AEROPEX でも、J-POPで流れるようなのシンセ(中音域〜低音域)くらいだと普通に表現豊か。但しバスドラムが入ってくると一気に軽くなってしまい「あー、やっぱり普通のイヤホンとは違うな」と感じる。OPENRUN PROだと最近の重低音イヤホンには敵わないが、一般的なバランス形のイヤホンであれば全く遜色ない。低域寄りの解像度が高いようで、バックグラウンドの細かな楽器の聞き取りは OPENRUN PRO が圧倒的に上。AEROPEX の後に聴くと「あれ?こんなに音数・楽器の種類多かったんだ」と気づくくらいに違いあり。ぱっと聴くと低域の厚みが増したことに目(耳)が行きがちだけど、実はこの低域寄りの解像度の高さこそ今回の OPENRUN PRO の真骨頂に感じる
  • 個人的にハイトーンボイスの楽曲をあまり聞かず、女性ボーカルでもハスキーボイスだったり、低音域が艶っぽい声が好きなこともあり、もともとAEROPEX でも女性ボーカルを上手に聴かせるな、と気に入っていたのですが、OPENRUN PRO の表現力は明らかに一枚上。くどいようだけど、これ普通のイヤホンですって。「言うても骨伝導イヤホンだから」という言い訳は全く不要



(b) J-HIP HOP
  • 重低域のバスドラムで筐体がぶるぶる震えます。但しその分低音域の厚みはあるため、とにかくノリノリ。おいおいこれ骨伝導?普通のイヤホンでしょ?と驚くくらい、普通にのれる。
  • バスドラムの重低音だけでなく、ベースなどの中音域の厚みも明らかに OPENRUN PRO が上のため、OPENRUN PRO の後に AEROPEX を聞いてしまうと音が「薄く」「すかすか」に感じる。但しこれは若干誇張表現であり、「こんなん聞いてられんわ」という極端なレベルではなく、低域が弱目のイヤホンですよね、という位には満足行くレベル



(c) R&B(男性ボーカル)
  • 一般的な J-POP だとそこまで気にならないが、バスドラムばすばす、ベースぶりんぶりんな R&Bを聴くと、振動はAEROPEX よりも大きく感じてしまう。AEROPEX だと振動が全く気にならないかと言われれば、AEROPEX でも肌に震えは伝わるが、これくらいならそこまで聞き疲れ(肌ストレス)はないかな、と思うレベル。OPENRUN PRO だとR&Bばかり1時間聞き続けたら少し肌ストレス出るかな?
  • 但しそれは通常のイヤホン、ヘッドホンでも同じで、我が家にある密閉型のモニターヘッドホン(ベイヤーダイナミックスのDT1770 PRO)で1時間ぶっ続けで R&Bを聴き続ければ普通に聴き疲れはするので、良い意味でも悪い意味でも「普通のヘッドホン(イヤホン)」になった印象 



(d) Jazz
  • ジャズではピアノの低音域がめっちゃ心地よく色気ある音に。ベースもより密度のある厚みのある音に。ジャズトリオなんかだと低音域の振動も肌ストレスを感じるレベルではなく、とにかく楽しく聞ける。AEROPEX でもピアノの低音域はかなり OPENRUN PRO に近く遜色はないけれど、聴き比べてしまうと若干軽めな感じに、ベースは気持ち控えめな音に聞こえてしまう。ただ、こうやって比較して聞き比べでもしない限りはジャズトリオだとAEROPEX でも正直不満はないかも
  • トリオくらいだと音数も多くないことから、解像感もそこまで違いは感じられない。どちらもピュアで綺麗な音
  • 但し前後比較で聴き比べをすると、ピアノの音色は OPENRUN PRO の方が艶のある感じに、ベースは解像度高く、ドラムは低音の厚み・響き、解像度全てにおいて上 



(e) Jazzy Hip Hop
  • 最近は Lo-Fi Hip Hop と言うんですかね? ピアノやギターがメロディーラインとなり、低音もそこまでばすばす言わないバスドラム、ベースラインの Jazzy Hip HopはAEROPEX が得意とするジャンルでした。美しく、楽しく聞けるのでライドにもよく持ち出していたジャンルなのですが、OPENRUN PRO で聴いてしまうと、ピアノやベース、シンセの中音域の解像度の高さもあって、明らかに OPENRUN PRO が一枚上に。これ、本当に普通のイヤホンですって
  • 個人的に最も気に入ったのがアコギを多用する楽曲。ギターやシンセの中音域がとても解像度高く、のりよく聴ける
  • AEROPEX だとベースやドラムが軽くなるのもそうなんだけど、ギターやシンセの厚みがそこまで感じられないため、全体的に軽く聞こえてしまう。ただ、OPENRUN PRO と聴き比べさえしなければ、AEROPEX でも十分満足できる音質 



5. 遂に公式アプリも登場

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公式サイトより拝借

そして今回遂に専用アプリが登場しました。
ここ1〜2年でイヤホンメーカー各社は専用アプリを揃えてきましたが、SHOKZ も遂に。
ただ、現時点では OPENRUN PRO のみ対応している模様です。
今後ラインナップは増えていくんですかね。


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ペアリングもこのアプリからできますが、今回の目玉はイコライザー機能ですかね。
よくある自分でのカスタマイズはできませんが、プリセットで「スタンダード」と「ボーカル」が用意されています。

音楽を聴くのであればスタンダード一択ですが、オーディオブックを聞くようなシチュエーションを想定して、新たにボーカルが追加されて模様。


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Web会議などでもこちらの方が良さそうですね。
このご時世と、この「ながら使い」ができる骨伝導イヤホンならではの機能、といったところでしょうか。
 



6. サマリ

とまあ、専門家でもないのに好き放題書き連ねてしまいましたが。
ついつい1時間聴き比べてをしてしまう位、OPENRUN PRO は興奮しながら楽しく聴くことができました。

何度もくどいようですが、静かな室内でながら聞きで音楽聴くなら OPENRUN PRO があれば普通のイヤホンいりませんって。1万円クラスのTWSイヤホンなら普通に渡り合えます。
がっつり楽曲に浸りたい時はヘッドホンやハイエンドのイヤホンを今後も使うとは思いますが、リビングで普段使いするなら、これ一つあれば十分と思える内容でした。

低音域の再生能力を向上させつつも、音域全体のバランスを全く損なっていないのはとても素晴らしいことだと思います。
高音域や中音域は、本当にAEROPEX にそっくりなんだから、驚きますよ?

さて次回は、ライドに持ち出してみたいと思います。
果たして室内と同じようにその音質向上を体感できるのか?
今から楽しみです。 


 






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