レーサーでもないのにレースバイクを買うべきではない

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ちょっと過激なタイトルですよね。
これが今の「主流な」意見だとは思わないのですが、「猫も杓子もレースモデル」という風潮に対する異論を唱える記事がありました。

個人的にはとても賛同できる内容となっています。

私も以前ピナレロのレース向けモデルに乗っていたのですが、当時(2018年モデル)のラインナップを見てみると、レースモデルは12種類のランナップがあったのに対して、エンデュランスモデルは4種類のラインナップしかありませんでした。
しかも、その4種類のうちの3種類については、一般人にはなかなか手の届かない DOGMA でしたから、実際には1種類しかランイナップされていないような状況。

そんなピナレロですが、ラインナップを統合しレース向けのFシリーズとエンデュランス系のXシリーズに整理した結果、最新ではレース向けモデルが8種類、エンデュランス向けモデルが7種類とかなり肉薄する状況になりました。

そんな時代の流れもあるとは思いますが、こういった声が大きくなり、各社ラインナップにも反映されると個人的には嬉しいですね。

■ 多くのローディーにとってエンデュランスロードこそが最適な選択肢である理由

1. プロレーサーとのニーズの違い

まず最初の主張ですが、そもそもプロレーサーと一般的なローディーでは求めるものが違うというものです。

エアロロードバイクはかつてないほど軽量化され、純粋なレースバイクはよりコンプライアンスを重視するようになった。

しかし、それは大きな間違いだと私は思う。
私の主張の核心は、(私のような)平均的なローディとプロのレーサーとではニーズが大きく異なるということだ。
レースに最適化されたデザインとジオメトリーを持つワールドツアーチームのレプリカバイクや、超軽量のヒルクライム専門バイクは、あなたのライドを良くするどころか、悪くするかもしれない。

どうしても、スピード重視のレースにおいては、剛性やエアロ性能が優先され、快適性は二の次となります。

よくレビュー記事などで「トップグレードで高い剛性を実現しつつも乗り味を犠牲にしていない」という評価を見かけますが、高剛性に負けない筋肉を有しているプレレーサーであればそうなのでしょうが、私のような週末ローディーには、ハイエンドモデルのマッシブで高剛性なBB周りからくる高い応答性は、短時間乗るには楽しいのですが長時間乗るには「足に来る」ので、とても快適とは思えないんですよね。

このような伸びやかで空気力学的なライディングポジションは、プロのアスリートにとっては理にかなっているのかもしれない。彼らには、このような極端な姿勢を何日も維持できる筋力と柔軟性があるのだから。

 

しかし、それ以外の人にとって、より速く、より長く走るための最も簡単な方法のひとつは、より快適に走ることだ。

 

だから、私は常に適切なバイク・フィットを勧める。紙の上では “最速 “のレース用バイクを買っても、そのバイクで快適に走ることができず、長いライドでもその状態を維持できなければ、それはお金の無駄遣いだ。完全なエアロロードバイクは、コーヒースタンドの外でもたれかかれば速そうに見えるかもしれないが、ペダルを回すたびに苦しくなるようでは、走行中に速く走ることはできない。

私も見た目で惚れ込んだバイクがありました。
ビアンキのオルトレXR3です。

カラーリングが変わる前も変わった後も、どちらも個人的な好みではどんぴしゃだったもので、ロードバイクを買い替える際には常に頭の片隅でチラついていました。

ただ、ジオメトリを見ると、私にとってはどうしてもスタックハイとが「低すぎる」為、長距離乗るのは辛いだろうな、という点が分かっていました。
実際に試乗してくると、めちゃめちゃ反応も良く、短い時間乗るにはとても楽しくて「これ欲しい!」とテンション爆上がりになるのですが、冷静に考えると「でも、私の柔軟性の無さからすると、このバイクで5時間走るのは辛いだろうな」ということで、購入を断念することに。

ただこういった冷静な判断も、ロードバイクに何年も乗って、自分にとって最適なジオメトリ、ポジションがある程度固まってきた今だからこそできるものであって、これからロードバイクを始めよう、というタイミングでオルトレXR3に出会っていたら、迷わずに買っていた気がします。

そして、100km走ると肩が凝るだの、腰が痛いだの、体の各部の痛みに悩まされていたことでしょう。

2. ハンドリング性能の改善

これは歴代のエンデュランスロードバイクを調べたわけではないので私は知らなかったのですが、最新のエンデュランスロードバイクは、プロのニーズにも応えられるハンドリング性能になってきているそうです。

  • エンデュランスバイクの傾向として、過去に比べてホイールベースが長くなる傾向にあり、走行時の安定性が増している
  • 以前のエンデュランスロードの場合、ヘッドアングルが「寝る」傾向が強く、ステアリングが緩慢になることが多かったが、最新世代のエンデュランスロードの場合は、レースバイクの標準である 72.5〜73.5度を保っており、ステアリングはレースモデルにひけを取らない
  • トレイル値についてもレースモデルに引けを取っていない。新型のジャイアントデファイのトレイル値は58.4mmであり、一世代前になるが、キャノンデールスーパーシックスエボのトレイル値は58mmで、その違いに気づける人はいないだろう

確かに、レースモデルに乗っていても、「ハンドルがクイック過ぎて嫌」といった悪い印象を持ったことはありませんから、エンデュランスモデルだからといって、ハンドルのステアリングを緩慢にするメリットはないかな、と思います。

3. ワイドタイヤの優位性

ディスクブレーキモデルが普及することによって、タイヤのクリアランスに対する自由度が増しました。
現在ではプロレースの現場においても28cのタイヤが標準となっています。

その必要がなければ、これらのバイクのクリアランスを最大にする必要はない。しかし、整備されていない道を走ることが多い私たちにとって、ワイドタイヤを低圧で使うことのスピード、グリップ、快適性のメリットは明らかだ。

 

タイヤクリアランスについて言えば、確かにグラベルバイクのほとんどはタイヤクリアランスがさらに広い。しかし、グラベルバイクは「公道走行可能」(トレイルヘッドに行くためにグラベルバイクを公道で走らせることができる)だが、ハンドリングが遅く、グラベルタイヤが重く、ノブが多いため、私の経験では、エンデュランスバイクに比べて公道でのスピードがどうしても落ちてしまう。

この辺りは各国の道路整備状況次第ではありますが、実舗装路が多い海外の場合は、28cがちょうど良いのだろうな、と思います。

個人的な経験からすると、日本国内であっても、北海道でツーリングをする際には、25cは「ちょっと細い」と思います。
関東近郊なら25cで問題を感じることは少ないですけどね。

4. 軽いギア比

お金が解決してくれる話ではありますが。

レース向けのモデル(完成車)の場合、フロントは52/36Tがアセンブルされているケースが多いと思います。

シマノも12速化され、リアが11-34Tがセットされる完成車も増えてきたようですが、私がレースモデルを購入した当時は、リアは11-28Tでした。

私のような貧脚ローディーだと、36T-28Tの組み合わせでは、峠道はしんどかったですね。

古くからのローディーたちからは、ロードサイクリングが “簡単すぎる “ため、どういうわけかこれはズルではないかとの声が上がった。オフィスには、53/39tの “標準 “クランクセットとタイトな11-25t(またはそれ以下)のカセットしか認めない人さえいた。

多くのロードバイクは、52/36tの “サブコンパクト “チェーンリングやタイトな(現在の基準では)11-30tカセットといった “レース “ギアリングを装備しているが、エンデュランスロードバイクは通常、より有用な幅広いギアを装備している。

(中略)

結局のところ、小さいレシオのグループセットを使うことで、より自分に合ったギヤスプレッドが得られる。
そう、プロやエリートレーサーは53/11tのギアを時速45kmで回すことができるかもしれないが、私はできないし、私たちの観客の多くもできないと思う。

無理して痩せ我慢するよりも、小さなギア比で軽く走った方が楽ですよね。

5. 頭では分かっていても・・・

私自身、今回の記事にはとても首肯できる内容が多いと感じているのですが、そうはいっても「頭で考えても最後は心で動く」ことが多いのも事実なわけで。

現代のエンデュランスロードバイクは実用的でエキサイティングだ。

 

エンデュランス・ロードバイクの最大のメリットは、おそらくそれが人気を失う原因にもなっている。

 

しかし、正直に言って、誰が頭だけでバイクを買うだろうか?

 

エンデュランス・ロードバイクへのラブソングを書いたにもかかわらず、私のガレージには2台(キャノンデールのシナプスとリンスキーのチタンロードバイク)しかない。ご存知の方もいらっしゃるかもしれないが、私はバイクを溜め込むタイプで、レース用バイク(スペシャライズドのTarmac、Parlee、キャノンデールのSuperSix Evo、Giant TCR、Storckなど)はもっとたくさん持っている。

 

だから、自分の偽善を理解し、それに対処しようとしているんだ。

自動車の世界も同じですよね。

日本の公道でポルシェとか必要? ランボルギーニとかどこ走るの?といった理性的な指摘がいくらあっても、「だって格好良いじゃん」という一言が全てを吹き飛ばすことだってあるわけで。

やっぱりエアロなロードバイクは見た目最強ですし。

結局誰が何と言おうと、最後は見た目と感性で選ぶのが後悔しないお買い物になるわけで。

ただ、そんな状況において、ピナレロがエンデュランスモデルを拡充したことは、とても大きな意味があると思っています。

ピナレロのXシリーズ、格好良いですもん。

x7

コメント

  1. shige より:

    プロはチーム(スポンサー)から支給されるハイエンドのレースモデルに乗る義務がありますが、我々アマチュアは自分の趣味で自由に選べば良いわけで、そこに第三者の意見が入り込む余地はありません。
    かく言う私は現在TREKのエンデュランスロードに乗っている訳ですが、選んだ理由は当時はまだディスクブレーキモデルが少なく、その中ではTREKが比較的多くのディスクブレーキモデルをラインナップしていた点です。
    現在は各社ともディスクブレーキモデルが主流を占めるので、もっと選択肢は増えていたでしょう。
    今のバイクに殊更不満がある訳では無いですが、もし次に買う事があれば第一候補に挙げているのがCARRERA PHIBRA DISCですね。理由はカッコイイから(笑)
    PHIBRAはフレームセットなので組み合わせるパーツを自由に選べるのも良し。ただ以前は30万そこそこのお値段だったのですが、去年一気に50%近く値上げしてしまい、手が出しにくくなってしまいました。
    円安なんとかしてよ岸田サン…

  2. 今老爺 より:

    カーオブザイヤーのデザイン大賞に選ばれた車などどうしてこれが?と思えるものまで
    カッコイイ!基準は人によってマチマチですが最近はブサカッコイイまであるようです。
    我々一般人も頭では解っていながらレーサー達が乗ってるエアロロードに惹かれるのは
    ただ単にカッコイイからに間違いありませんが車種は個人的な好みによって様々ですね。
    私などは無難で癖のない優等生モデルには魅力を感じず他にない癖のあるモデルの方に
    惹かれますがローディーでもないのにロードに乗ってる偏屈老爺だからかもしれません。

  3. たかにぃ より:

    タイヤが太くなったせいもあり、最近のセミエアロは5年以上前のエンデュランスロード並みに快適に走れ、平坦では誰でも速度維持ができ、楽に遠くへ走れます。上りは如実にペダルの廻し方や上体の使い方の差がでるので、まずフィッティング、次に体を上手く使うためのドリルが大切ですが…
    どんなバイクでも不整地を走り込むなどして、手放しで曲がれるくらいにバランスがとれるようになると、体が疲れるまで走っても手や尻が痛くならないようになりますが、反応鈍め(直進安定性が高い)エンデュランスロードだったり、重心低めのクロモリロードのほうがバランスが取りやすく出来ているので、そうなるのが早いですね。

  4. より:

    オートバイの世界でなのですが、
    レーシング系スーパーバイクは、それ自体は直進性と旋回性のバランスが5:5で、轍にハンドルが取られやすかったり、低速で車体が内側に切れ込む特性が有りますが、ツーリング系スーパーバイクの隼は、非常に穏やかで、ハンドルの切れ込みや轍でのフラフラ感は皆無で横風10mでも安定してレーシング系とは全く違う特性を示します。
    ロードバイクもシートチューブとホイール間がキツキツのフレームは、かなりシビアなハンドリングで、縦の筋彫りでかなりふらつきます。重心が高いのとホイールベースの短さにキャスターの立ちの強さから来るトレールの少なさは、踏んだ時の反応は抜群ですが、サドルにビシバシ突き上げが来ます。ツーリング系が好みだと、この真逆を探すしか無いですよね。 でも、その両立を可能にした自転車が最近見つけ、リカンベントですが、Cruze bike V20という前輪駆動のバイクで楽ちんポジションで700cホイールはロードバイク用のエンドは金具の交換で130リムブレーキ用と142ディスクどちらも使えます。エンド142はスルーアクスル、ブレーキはキャリパー、ディスク両対応…ドロップハンドルでホイールベースの長大さから横風や路面の荒れにも安定してました。先日、試乗させて貰いましたが、総額70万越えで貯金中です。(>_<)(ディープリムだと90万程です)

  5. おとーさん より:

    >shigeさん
    カレラのフィブラ、シルエットが唯一無二で格好良いですよねー。
    なかなか外で実物を見たことがないのですが、他の人と被らないという点でもとても素敵です。
    昔は完成車がコスパ最高!なんて思ってましたが、一度バラ完を体験してしまうと、どうしても次もフレーム自分で選んで〜となってしまいます。
    ただ、仰るように、もういい加減円安は是正して頂きたいです・・・。

  6. おとーさん より:

    >老爺さん
    天邪鬼、というやつでしょうか・・・?
    以前はピナレロという「THE ミーハー」なバイクに乗っていましたが、今のクロモリフレームに乗っていると、何となく「こだわり持ってる」感が出て、所有欲が満たされる気がしますので私も天邪鬼体質なのかもしれません。

  7. おとーさん より:

    >たかにぃさん
    ママチャリでは手放しで乗れるのですが、ハンドルがクイックなロードバイクだと、手放し怖いです・・・。ちょっとした路面の凹凸で簡単にハンドル取られてしまうので、びびって手放し運転できないんですよね。
    ただ、荷重をかけるバランスの重要性はロードバイク乗り始めたばかりの頃は理解できませんでしたが、今では身に染みて分かるようになりました。
    ハンドルとサドルとペダルで分散させられるようになった結果、グローブもクッション性の低いもので問題なくなりましたし、お尻が痛くなることもなくなりましたね。
    ただ、まだまだバイクコントロールは下手くそなので、ロードバイクはほんと奥が深いです。。。

  8. おとーさん より:

    >♪さん
    ほんと、年々「シートチューブとホイール間がキツキツ」のフレームが増えてきている気がしてなりません。
    あそこまで詰めてしまうと、ちょっと疲れそうだなーと思って眺めています。
    あの独特のフレーム形状、見る分にはメチャクチャ格好良いんですけどね。
    リカンベントで長距離ツーリングとか、良いですねー・・・。
    昔北海道をMTBでツーリング旅行していた際に、リカンベントに乗った壮年の方にお会いしたことがあるのですが、「こんなツーリングやってみたい」と憧れましたねー。
    ちょっと私の地域ではハードル高いのと、置き場所が確保できずに確実に奥様に却下されてしまいそうですが・汗

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