グラベルバイクがマーケットの中に地位を確立してからというもの、エンデュランスバイクに対する「中途半端」というイメージも昔に比べて薄まってきたような気がします。
ロードバイクが今よりも高い熱量を誇っていた頃は、多くのホビーライダーにとってはレースバイクよりもエンデュランスバイクの方がニーズにはマッチしているはずなのに、どうしてもエンデュランスバイクは中途半端な「印象」があった気がしています。
それこそ弱虫ペダルを読んでロードバイクに興味を持った人であれば、まずはレースバイクに興味が向かいますから、それはそれで仕方ないのでしょうが。
ハイエンドなレースバイクが速いのは当然として、エントリーレベルのエンデュランスモデルとレースモデルを比較した場合、実際にどれだけ速さが違うのだろう?という問いに対して、実際に乗って比べてみた、という記事がありましたので紹介したいと思います。
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■ レースモデルは実際にエンデュランスモデルよりも速いのか
1. 比較条件
まず実走に使われたエンデュランスバイクは、VAN RYSEL NCR CF。デカトロンのオンライサイトで2000ポンドで購入可能なモデルとなります。
主要スペックはこんな感じになっています。
- カーボンフレーム
- フレーム重量はMサイズで1203g、ペダルなしの状態で8.7kg
- 油圧ディスク
- コンポはSRAM Apex の1×
- ホイールはマビックアクシウム(前後で約1,900g)
- タイヤはハッチンソン・フュージョン5の28mm
変速が1×だったり、ホイールが鉄下駄だったりしますが、カーボンフレームということを考えると一般的なスペックのエンデュランスバイクですね。
対するレースモデルは、スペシャライズドの Allez Sprint Compの2022年モデル。
- アルミフレーム
- コンポはアルテグラDi2、油圧ディスク
- ホイールはHUNTのディープリムに換装しており、重量は7.98kg
- ハンドルバーはアルミ製のエアロハンドル
- テスト時は条件を揃える為にVAN RYSEL NCR CFに付属するアクシウムを使用
条件を揃える為にホイールは同じものを使っていますが、それ意外はエアロvsエンデュランスと言える内容になっていますね。
テストコースの条件はこちら。
- 距離は10km
- 坂道、舗装路、下り坂、平坦区間のあるイギリスで一般的なコース
- 下り坂の一部には砂利道もある
- テストはそれぞれのバイクに2回ずつ乗って比較
- 心拍数を同じに揃えるようにしてライド実施
パワーメーターを使って条件を揃える、みたいな走り方にはなっていませんし、仮にパワーメーター使ったとしても、実走で10kmのライドを全く同じ条件で揃えることは無理でしょうから、あくまでも参考数値にしかならないとは思います。
とはいえ、実走そのものですから、これはこれで参考になる比較実験ですよね。
2. 実走結果
で、比較結果はどうなったかというと。
- 10kmのコースで、レースバイクの方が平均約8秒早かった
だそうです。
元記事によると、過去にRibble、Trek、Specializedの各メーカーからは「完全なエアロレースバイクは1マイルあたり最大約4.5秒短縮できる」と言われていたそうです。
10kmに換算すると、27秒早くなる「はず」ですね。
ただ、今回のコースは実走ということで、砂利道もありますし、エアロ性能を検証するという観点からは「理論的」「理想的」なコースではないことから、この8秒と27秒の差も、十分納得できる内容だった、と結論づけています。
どうでしょうか?
これが平坦路の多い舗装路だけのコースだったら結果は変わったと思いますし、実走だからこそ不確定要素となる風がどの程度吹いていたかによっても結果は変わったことでしょう。
とはいえ、ある程度条件を揃えてみると、実はそこまで大きな違いは生まれなかったという結果になりました。
また記事の中では、「体の柔軟性が低いライダーであれば、もっと長距離を走った場合はエンデュランスバイクの方がタイムも早くなる可能性がある」という点も指摘しています。
エンデュランスバイクはよりリラックスしたポジションで走ることができますので、長距離、長時間で体に疲労が溜まってくることを考えると、アグレッシブなポジションを求められるレースバイクよりもライド後半にタイムを縮めることができるだろう、ということです。
確かに、それはありそうな話ですね。
レースバイクの方が速いと決めつけるのではなく、ケースバイケースでライダーの特性に合わせてバイクを選ぶべきなのはその通りなのですが、「エンデュランスバイクの方が速く走れる」可能性だってある点は、留意が必要な気がします。
コメント
ロードバイクでエンデュランスと言ってもコンペティションバイクであることには変わりませんが常用する速度が違い、アマチュアロングライド向きですね。
10年前のブーム時でも、スペシャライズドのロードバイク出荷台数はエンデュランスのルーベが6割を占め、残り3割が軽量ターマックとエアロなヴェンジでした(他1割はグラベル等)。快適性への一番の影響はタイヤですので、太いタイヤが履けるのがポイントです。
今はツールドフランスなどでも30C以上のタイヤを履かせて、年々ハードになるコースに対応しているくらいなので、細いタイヤしか使えないバイクが衰退するのが現状です。
(参照記事はホイールを揃えたのに、わざわざタイヤを変えているのがちょっと謎です。)