日本国内では5月頃の発売が予定されているようですが、スピードプレイから待望のペダル式パワーメーターが発売されますね。
海外では一年ほど前から情報が出ていたようですが、このご時世のせいなのか、技術的な問題からなのか、発売にこぎつけるまでには時間がかかった印象です。
私も片足計測用のパワーメーター(4iiii PRECISION)を導入してから気づけば3年近くが経過していますが、TSSを用いた1週間単位での運動負荷状況(トレーニングのし過ぎ or トレーニング不足)が数値化されたり、ロングライドでのスタミナ管理にと何かと重宝しています。
複数のバイクで使い回しができるペダル式のパワーメーターは気になるガジェットではありましたが、半年ほど前に導入したスピードプレイのペダルがすっかり気に入ってしまったこともあり、Garmin Rally や Favero ASSIOMAのパワーメーターは指を加えて眺めるだけ。
スピードプレイのパワーメーターがどんな製品に仕上がるのか楽しみにしていましたが、先日海外でレビー記事が出ていましたのでご紹介したいと思います。
■ Wahoo SPEEDPLAY POWERLINK ZERO は買いなのか!?
1. POWERLINK ZERO のインプレ
製品仕様については各種サイトで取り上げられていますのでそちらをご覧頂くとして、ノーマルのスピードプレイペダルとの違いはざっとこんなところでしょうか。
ZERO | POWERLINK ZERO | |
ペダル重量 | 222g | 276g |
スタックハイト | 11.5mm | 13mm |
Qファクター | 53mm | 55mm |
重量にして左右合計で+54g。
これは許容できる人、気になる人、意見が分かれそうですね。
スピードプレイペダルと言えば低スタックハイトが売りの一つだったりしますので、この点がスポイルされてしまうのも少し残念。
個人的にはQファクターはむしろ55mmくらいの方が合っているのでここは気にならないですね。
パワーメーターを組み込む以上、ノーマルペダルと全く同じというわけにはいかないでしょうが、実際の数字以上に「ぼてっ」と見えるのが少し残念です。
さておき。
以下、海外インプレ記事のサマリをば。
(1) ペダルの取り付けについて
- ペダル取り付けトルクは30Nmが推奨となっているが、ある程度きちんと取り付けてさえいればパワーデータは正確であった
この辺りは朗報でしょうか。
規定トルクできっちり取り付けないとデータの正確性が担保できないと言われてしまうと、扱い辛いですからね。
(2) SPEEDPLAY ペダルについて
今回のレビュワーは、スピードプレイを使った経験がないようで、今回が初使用。そのせいか、そもそものスピードプレイペダルに関するネガティブコメントが多いようです。
なるほど。
他社性ペダルに慣れ親しんでいると、こういった受け止め方もあるんですね。
- クリートの取り付けに時間がかかる、クリートの前後位置を調整しようとすると、クリートの分解に時間がかかる、クリップイン、クリップアウトが硬い、等はネガティブな印象
- レビュワーは「両面ペダル」に対するポジティブな印象がそもそも薄い模様。片面ペダルでもエントリー面はライダーの足側を向いてぶら下がるように加重されているため、ほとんどのケースにおいてスムーズにクリップインできる、というのがその理由
- また、「クリートスプリングとペダルが固定されるクリート中央部」には、ドライルーブを断続的に塗布し、スムーズに動作するようにすることが推奨されている為、インドアサイクリングをよくする(つまり家の中でサイクリングシューズを履く)レビュワーとしては、そんなことをするとカーペットを汚してしまう恐れがあると否定的なコメント
- クリートの取り付けテンションを調整する機構はなく、ノーマルクリートかイージーテンションクリートを使い分ける必要があり高くつく点もネガティブ
確かに、ペダル&クリートルーブを使うことが推奨されていますが、クリートスプリングが馴染んでくるとなくても何とかなるんですけどね。
あると、よりスムーズなクリップインができるようになるのは事実ですが。
あと、片面ペダルでもそこまで不便ではないよ、というコメントも全くもってその通りかと思いますが、両面の方が圧倒的に楽なのも事実。
この辺りは何を重視するかといった点で意見が分かれるポイントでしょうね。
(3) 接続性について
- 自転車を漕ぎ出せばスムーズに各種機器と接続される為、接続性に関してはあまり意識する必要はない
- ANT+で Garmin Edgeサイクルコンピュータに接続するのは簡単で、Zwiftなどのインドアサイクリングアプリに接続したり、Wahoo Kickr Rollrに接続したりするのも問題なく行えた
- iOSアプリでファームウェアアップデートも簡単に実施可能
この辺りは全く問題ないようです。
(4) 各種データ測定について
- POWERLINK ZEROではトルク効果、ペダルの滑らかさ、プラットフォームの中心オフセットなどの高度な測定基準は利用できない為、これらが必要な場合は他社のパワーメーターを選択する必要あり
- Wahooによると、これらの測定基準は、現在「実用的な測定基準」ではないと考えられるため、実装されていないとのこと
- パワーとケイデンスのデータに関して、Powrlink Zeroペダルは、私のテストを通じて、Stages Power LR Ultegra R8000クランクセットやElite Direto XRスマートトレーナーなど、他のベンチマークパワーメーターと非常によく追従し、大きな偏差は見られなかった
Wahooはスマートトレーナーも販売していますから、この辺りで問題がないのは「そりゃそうだよね」といったところでしょうか。
(5) 他のペダル式パワーメーターとの比較
- Wahoo POWERLINK ZERO ペダルの、Garmin RallyやFavero Assioma Duoペダルと比較した時の最大の優位性は「スピードプレイペダルである」ということ。スピードプレイが気に入っている人であれば、他に選択肢はなく、おそらくそれだけで価値がある
- 他方、ペダルのプラットフォームがスピードプレイである必要がない場合は、バッテリー寿命こそ短いが、Favero Assioma Duo のコスパには敵わない
- Garmin Rallyはバッテリー寿命が最も長く、クリートの互換性も最も広い。LOOK KEO、Shimano SPD-SL、SPD互換のペダルボディを選択でき、(工具を使いこなし、変換キットを購入することに抵抗がなければ)この3つを任意で交換することも可能。オン・オフロード双方でパワー計測を行たいライダーには唯一の選択肢
- 重量は、Powrlink Zeroペダルのみで277gとなっており一見軽量だが、クリートと取り付け金具(1足あたり148g)を考慮すると、システム全体の重量は425gに。これは、Garmin Rally や Favero Assioma Duo のパワーメーターペダルシステム(ペダル+クリート+金具)の総重量より30~40gほど重くなりますが、性能に影響を与えるようなものではない
そうだよな、という結論ですね。
スピードプレイが気に入っている人であれば他社と比較するまでもないですし、特にこだわりがない人であれば各人が重視するポイントに応じて、他社性を選択した方が幸せになりそうな内容ですよね。
2. サマリ
結論として、今回のレビュワーは初めてスピードプレイペダルを使ったようですが、スピードプレイに乗り換えるには至らなかった模様です。
ということで、以下がサマリとなっています。
【PROS(良い点)】
・正確で一貫性のあるパワーデータ ・他に類を見ない高度にチューニングされたフロート ・バイクへの取り付けが簡単 ・安定したバッテリーライフ |
【CONS(イマイチな点)】
・ロード専用ペダルは1種類のみ ・交換用クリートは比較的高価 ・クリートのスプリングテンションを調整するには別のクリートを購入する必要がある ・高度なパワーメーターメトリクスがない |
ほんと、突き詰めてしまうと「スピードプレイである必要があるか否か」に尽きるようですね。。。
目先は財政事情から手を出すのは厳しそうですが、いつかは使ってみたいですねー。
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