ジオメトリを比較(ケルビム vs ピナレロ)

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今年になって、初めてのフレームオーダーをケルビムさんで実施してきました。

その際に体の採寸、専用器具を使ったポジション確認を経て設計頂いたフレーム仕様を眺めながら、何がどう変わったのかを見ていきたいと思います。

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ま、所詮は机上の数値をあれこれ言ったところで、最後は実機に乗ってみないことには、という話ではあるのですが、納車までの時間潰しということで。

■ ジオメトリを比較(ピナレロ GAN S  vs  ケルビム Sticky)

1. ピナレロ GAN S と ケルビム Sticky のジオメトリを比較してみる

今回設計頂いたジオメトリと、現在乗っているピナレロ GAN S のジオメトリを比較してみました。

 

GAN S
(500サイズ)
ケルビム
トップチューブ長 525 540
シートチューブ長 500 526.8
ヘッドアングル 71.4° 73.0°
シートアングル 74.0° 74.0°
フロントセンター 575 579.9
リアセンター 408 410
ヘッドチューブ長 125 125
ハンガー下がり 72 68
フォークオフセット 43 45
リーチ 372 385.5
スタック 525 536.8

 

まずはいきなりトップチューブ長が違うことにびっくりですが。
以前別のクロモリフレームに試乗した際にも、今乗っているピナレロを基準にトップチューブ長さは520〜530くらいが適正と踏んでいたのですが、分からないものですね。。。

違いがある点について、一つ一つ見ていきたいと思います。

(1) ヘッドアングルが大きい

まず、ケルビムの方がヘッドアングルが大きい(ヘッドが立っている)ようです。
あくまで一般論ではありますが、ヘッドアングルが小さいと、重心が後ろに移動する為にハンドルがふらつきにくく、安定した走りが可能になるそうです。
逆にヘッドアングルが大きいと、重心が前に移動する為、ハンドリングはよりクイックに、また力が伝わりやすくなる為にスピード重視な乗り方が可能になるそうです。

例えば、トレックのロングライド向けな Domane SL6 とエアロ番長の Madone SL6 を同サイズで比較してみると、Domane SL6 が 71.3°であるのに対して、Madone SL6 が 72.8°となっています。

いやいや、そう考えるとケルビムは Madone よりもヘッドが立っていることになりますね。
調べてみたところ、この73°というのは、キャノンデールのシステムシックス、スペシャライズドのベンジと同じ値でした。

めっちゃレーシーじゃないですか・笑
この辺りが競輪選手のフレームを数多く手がけるケルビムの特徴の一つだったりするんですかね。

(2) フロントセンター&リアセンターが長くなった

続いてフロントセンター、リアセンターですが、どちらも僅かに数値が大きくなっています。

一般論として、フロントセンターが長いと安定性が増し、短いとハンドルの旋回性が高まることになります。
対してリアセンターが長いと直進安定性、振動吸収性が高まりますが、加速性は落ちることになります。リアセンターが短いとその逆となり、直進安定性、振動吸収性は落ちますが、加速性は上がることになります。

ピナレロよりは数値は大きくなっていますが、トップチューブ、シートチューブと全体的にサイズアップしていることを考えると、比較的今のピナレロに近い感覚になるのかもしれませんね。

(3) より高重心に(ハンガー下がり)

ハンガー下がりは若干小さくなっており、重心が高くなっています。
重心が上がると安定性が下がる代わりにペダルを回した時のダイレクト感は上がると言われています。

この辺りは各社のバイクを見ても明らかで、エンデュランス系はハンガー下がりは大きく低重心、エアロなレースモデルはハンガー下がりは小さく高重心となっています。

システムシックスやベンジなどはむしろピナレロ GAN S に近く、この点もケルビムはレーシーな味付けになっているようです。

(4) よりロングリーチ・ハイスタックに

ロングリーチになったということは、より前荷重になる為にスピード重視になったという見方もできますが、スタックに関してはよりハイスタックになったわけで、攻めた前傾姿勢にはならないことになります。

この辺りはまさに実測の結果を反映したという点でもあり、実際に乗ってみて体感したいところではありますが、数値傾向としてはやはりレーシーな味付けなのかな、と思います。

こうやって見てみると、レースモデルの GAN S に真っ向勝負という印象ですね。

2. 今のフレームはワンサイズ小さかった疑惑

こうして色々と比較してみて感じたことは、「実は今乗っている GAN S、もうワンサイズ上でも良かったんじゃね!?」という疑惑ですね。

改めて色々なショップのバイク紹介記事を見ていると、私の身長の場合、おすすめのサイズはもうワンサイズ上を指定していることが多かったんですよね。
今のサイズは、おすすめ身長の上限に近い感じでした。

結果的に、スタックが低く、シムをがっつりかませて使っていたわけですが、もうワンサイズ上ならあと一枚はシムを減らした運用ができていたわけで。

こうやって一度がっつり調べて頂くと、今後のフレームサイズ選びの参考にもなるので良いですね。
今まで気になっていた各社のバイクとジオメトリを比較して、「あー、このバイクだったらこっちのサイズが合っていたのかー」とか見比べるのが楽しくて仕方ありません。

例えば最後まで悩んでいたスペシャライズドの Aethos だったら、52サイズではなく54サイズがどんぴしゃ、とか。

Aethos
(540サイズ)
ケルビム
トップチューブ長 540 540
シートチューブ長 481 526.8
ヘッドアングル 73.0° 73.0°
シートアングル 74.0° 74.0°
フロントセンター 579 579.9
リアセンター 410 410
ヘッドチューブ長 137 125
ハンガー下がり 72 68
フォークオフセット 44 45
リーチ 384 385.5
スタック 544 536.8

って、比較してみると、本当に Aethos 54サイズは今回のジオメトリに色々と近いですね。
クランク長やハンドル幅がそれぞれワンサイズ上なので、フレーム長に合わせるとどちらも交換が必要じゃねーか!という、逆の驚きもありましたが。

って、まだ納車もされていないのに、その次の話をするのも何なのですが・汗
楽しみに完成を待ちたいと思います。

 

 

 

コメント

  1. たかにぃ より:

    ケルビムフレーム、ガンSに比べシートポストの突き出しが減り、相対的にアップライトな姿勢になるからロングライド向きだと思います。ヘッドアンングルは車格が大きくなれば立つのが普通なので、あまり気にする必要もありません。
    小さなフレームサイズが向いているのは反応性が求められる加速減速が激しいレースだけれども、ポジションパーツで色々な人にサイズを合わせやすいことから、ショップでは小さなサイズが勧められることが多いですね。

  2. おとーさん より:

    >たかにぃさん
    ショップでも、レース考えるなら小さめをおすすめします、という話は何回か聞きましたね。
    乗り込んでようやく自分なりのサイズ感が理解、実感できるようになりましたので、全ては結果論。それなら最初は小さめの方が調整つけ易いと考えると、今のサイズをおすすめしてくれた店員さんの判断は正しかったとも言えるわけですね。

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