バイクフィッティング。
ちょっとロードバイク趣味に手を出してみるか、くらいの軽い気持ちで自転車に乗り始めた人であれば、なかなか手を出しづらいですよね。
私自身、最初にロードバイクを購入した際には、ショップの人はサドルの高さを合わせてくれただけでしたし、それ以上の「何か」が必要だとは思っていませんでした。
ただ、レースに出るようなセミアマチュアローディーでなくとも、バイクフィッティングの効果があるよ、という研究結果が出たそうです。
新しいホイールを買うよりもバイクフィッティングを行うべきか
研究内容について
まず研究内容についてです。
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アメリカのウィスコンシン大学リバーフォールズ校が、Selle Italiaのバイクフィットシステム「idmatch」を用いて研究を実施
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対象は競技者ではない一般サイクリスト12名で、フィッティングの前後で同じ自転車を使い、短時間全力とFTPテストを比較する形で検証を実施
検証結果その1「パワーの向上」
まず検証結果の1点目として、フィティングを行うことで明らかなパワーの向上が確認できたそうです。
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6秒間のピークパワー(スプリントのような全力走行)が平均で約80W以上向上し、FTPテストでも約10Wの平均出力アップという改善が見られた
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さらに、ペダルの平均トルクが増加し、同じような強度でも主観的なきつさ(RPE:自覚的運動強度)は下がるという、効率性の向上を示す結果も出
フィッティングが最適化されると、無理なく、効率的にペダルに力を伝達できるようになりますので、一定のパワー上昇は確認できるだろうな、とは思っていましたが、数値としてパワーが上がるだけでなく「主観的なきつさ」も下がるというのが大きいですよね。
週末の趣味として自転車に乗り始めた、という人であれば、「早く走れるようになりますよ」というのもそれはそれで嬉しい効果ではありますが、「きつく感じることなく、それまでよりも速く走れるようになりますよ」というのは、シンプルに嬉しいですよね。
検証結果その2「快適性と痛みの軽減」
また、フィッティングを行うことで、快適性も確実に向上したとのことです。
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サドルまわりだけでなく、手・手首・背中・骨盤・ハムストリングや足など、ほぼすべての接触部位で痛みや不快感の自己申告が減少した
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以前からも他の研究で、標準化されたバイクフィットが数ヶ月後まで痛みや不快感の軽減に効果を持つことが報告されており、今回の結果とも整合している
私自身、2台目のロードバイクを購入してから、ポジションについてじっくり向き合い、自己流であれこと試行錯誤しました。

3台目のロードバイクはフレームオーダーをすることにした為、その際にフィッティングも行ってもらったのですが、その際にはほぼほぼ自分で最適なポジションまで追い込むことができていましたが、自己流でやっていたが故に、そこに到達するまでには3年かかりました。

こういった「週末ローディーレベルでも、バイクフィッティングやった方が良いよ」という研究成果は、もっと広く知られるべきですよね。
私も、もっと早くに手をつけておけばよかったなー、と思いましたから。
効果が出た主な調整ポイント
ちなみに、特に効果が高かった調整ポイントも挙げられています。
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今回のフィッティングでは、サドルとハンドルの距離を長めに取る方向への調整と、クリート位置を前寄りにする調整が、パワーやトルク向上と強く関連していた
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多くのライダーが「アップライト=楽」と思ってポジションを短くしがちだが、体重配分が悪くなり、背骨や上半身に過負荷を招くケースが多いという指摘も
なんか、分かる気がします。
私自身、最初の頃は「そんなにシリアスに走るわけじゃないし、アップライトな方が良いよね」と考えていましたが、アップライトにしつつ(高スタック)、ハンドルも近く(ショートリーチ)にし過ぎてしまうと、太ももの前側(大腿四頭筋)でペダルを漕ぐことになってしまい、すぐに筋肉に疲労が溜まってしまったり、上体が余計に疲れたりしていました。
適度なスタックとリーチを見つけることが、実は一番楽にペダリングできることにつながるんですよね。
アマチュアサイクリストへの示唆
最後に、アマチュアサイクリストへの示唆についても触れておきます。
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研究者は「客観的なバイクフィットは、心肺への負担を増やさずに、無酸素的な瞬発力と長時間の持久出力の両方を即座に引き上げることができる」とまとめています
今回はあくまでもSelle Italiaのidmatchシステムに特化した結果ではあるものの、「正しいポジション調整そのもの」が今回の効果の源と考えられますので、他のフィッティングでも同じようなメリットが期待できると思います。
ただ難しいのは、バイクフィッティングにも「フィッターの主観」が入るタイプと、「数値で語る」ものと、2種類あるということ。
前者だと、自分に合わないフィッターに当たってしまうと期待するような効果が出ないこともあります。
自分は楽に遠くまで走るようなフィッティングを目指したいのに、1時間のロートレースで最大限のパフォーマンスを上げる為のフィッティングをしてしまうと、自分が望むのとは異なる結果になってしまいますよね。
また、アマチュアであるが故の悩みとして、自転車に乗り始めた頃と、半年後、1年後、2年後では体の筋肉と柔軟性に変化が訪れるという点。
バイクを初めて半年後に「その時最適なフィッティング」を行ったとしても、その後自転車趣味を続けて筋力がついてきたり、柔軟性が変わってきたりすると、また最適なポジションは変わっていってしまいます。
私の場合、ロードバイク趣味を初めて、最適なポジションに辿り着いたのが約5年後だったのですが、裏を返すと、それまでの間に最適なポジションは少しずつ変わり続けて、ようやく5年後に固まった、という見方もできます。

一回に何万円もかかるようなフィッティングを、半年おきに実施するとなるとなかなかにハードルが高いですからね・・・。
私の場合、我流とは言いつつきちんと書籍に従って少しずつ調整していくことで最終的には自分なりの正解に辿り着くことができましたので、我流でも良いからポジションには気を配っていただくのが、より楽しい自転車ライフを送るには良いのではないかと思います。




コメント
書籍内容で充分ですが、我流で現在快適なポジションで固めてしまうと癖が強調され、歪みが大きくなります。
歪みによるケガを防ぐためにも、我流だけは避けたほうが良いかと思います。
ちなみに数万円のフィッティングですが、1回受けると追加料金なしにフォローフィッティングが出来るのが普通です。正しい乗り方に直すところからスタートし、効果を確認しながらフォローフィッティングで自分に合わせると、5~10年はそのポジションで乗り続けられるので、サドルやハンドルを購入交換しながら試行錯誤するのに比べ、結果的にずっと安く仕上がります。
「我流」は語弊がありましたね。
書籍の一般的なやり方に従って、自分で取り組む、ですね。
ちなみに、フォローフィッティングは受けられる期間は限られていたかと思います(3ヶ月間とか)。数年後だと再フィッティングですよね。
ポジションを追求する場合、フレームがそもそも合っていないと厳しいですが、サドルやハンドルの交換は通常必要なく、あったとしてもステムの変換とかでしょうから、下手に「快適性を追求したい」とかでサドルを交換するのは非効率、というのはその通りだと思います。