パワーメーターは本当に信頼できるのか?

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ちょっと刺激的なタイトルですが。
今回はパワーメーターの信頼性についてまとめられた記事があったので、紹介したいと思います。

Can You Trust Your Power Meter? 
Is power really the objective metric that we think it might be? Why power meters might not be as great of a training too...

 

パワーメーターは本当に信頼に値する客観的な指標なのか?

基本的にパワーメーターの精度はそこまで高くない

まずパワーメーターで表示される値の正確性はそこまで高くない、という点に注目する必要があります。

例えば私が現在愛用している Wahoo SPEEDPLAY POWERLINK ZEROであれば、精度は±1%となっています。注意すべきは、この精度というのは「真に正しい精度から±1%誤差が生まれる」ということではない、という点になります。
日によって、環境によって、その時々で±1%ずれることがあるからね、という意味合いになります。

そして、当然のように工業製品ですので、同じ工場、同じ環境で製作されたパワーメーターであっても製品誤差だって生じます。

これは同じパワーメーターでも生じる話なわけですが、当然製品が異なればもっとその差は大きくなります。

「オレのFTPは250Wなんだぜ」という話があったとしても、それがインドアトレーナーで理想的な環境で叩き出した数値なのか、荒れた路面もある峠道で計測されたものなのかでその数値の信頼性は変わってきますし、計測したパワーメーターがハブ式のものなのか、ペダル式なのか、クランク式なのかによっても数値に差が生じてきます。

違うパワーメーター、異なる環境で計測されたパワー値を比較することには、実はそこまで大きな意味がないんですね。

パワーメーターの種類別の精度について

言われてみればそうだよな、という話ではあるのですが、パワーメーターの種類毎に計測精度も変わってきます。

これはあくまでも「一般論」「相対的」なものではありますので実際の機器によって結論がひっくり返ることはあるとは思いますが、精度が高くなりやすい取り付け位置というものは存在します。

リアハブ式

最近ではすっかり製品種類も少なくなってしまいましたが、最も計測し易い取り付け位置はリアハブになります。
パワーを一貫して計測できる箇所なためです。

クランク式/スパイダー式

比較的取り付け難易度が高くなく、それでいて計測精度が高いのがクランク式になります。これは、ペダルよりも不規則な力を受けにくく、衝撃や損傷、摩耗から保護されているためです。

ペダル式

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ペダル式を愛用している人間としてはちょっと悲しい話ではありますが、ペダル式のパワーメーターが最も計測難易度が高い、言い換えると計測精度が低くなりがちな取り付け位置となります。
これは、ペダルの位置やサイズの制約、またペダルに加えられる不規則な力のためでもあります。

ペダルに加えられる力というのは、力を加える場所にダイレクトであるが故に、足裏のどの位置のどの力をどの程度受け止めてパワーとして計測するか、という難しさがあるわけですね。
これがクランクであれば、ペダルで加えられたりロスする分などすべてサマライズしたうえで伝達されるパワーになりますし、リアハブであれば、そこに加えてチェーンでロスされたパワーなども差し引いたうえで、純粋にハブに加えられたパワーのみを数値化することになります。

「ロスするパワー」を考えると、ペダリングが下手くそだったり、チェーンを綺麗に掃除していなかったりする初心者ほど、ペダルで計測した場合の方がパワーは大きくなり、多くの力がロスで消えていった結果、リアハブで計測するとより小さなパワーとして計測されるかもしれないわけです。

片足 or 両足計測なのか

クランク式やペダル式でもう一つ問題になるのが、計測がシングルなのかデュアルなのか。

私自身以前は片足(クランク式)で計測していましたが、両足計測のペダル式パワーメーターを導入して計測した際に、日によっては最大左右で52%/48%といったバラツキが普通に起きることに気づきました。

これが片足で計測していた場合、最大8%の誤差を生んでいたことになります。

いくら精度の高いパワーメーターを使っていても、あっという間に全ての誤差を吹き飛ばす位の誤差が生まれるわけですね。

重要なことは「継続性」

このように、計測する位置、ライダーのペダリングスキルなどにより計測されるパワー値には違いが生じることになります。

これらを無視してパワーを比較することに意味がないわけです。

パワーメーターについても、「真の正しいパワー値から誤差が少ない」ことが重要なのではなく、「毎回同じ入力に対しては同一のパワー値を出力すること」が重要になります。

よく、各社のパワーメーターを比較して「このパワーメーターが正しい」という評価を下す人がいるのですが、実は「真の正しいパワー値」を追い求めることにはあまり意味がない作業だったりします。

「真のパワー値」に近しく、誤差1%以内で上下するパワーメーターがあったしても、まったく同じ出力を加えている際に、ある日は真の正しいパワー値から1%プラスだったり、別の日にはマイナス1%の値を叩き出すのであれば、計測機械としては精度が高いとは言えません。

たとえ毎回「真の正しいパワー値」から10%ズレた数値を叩き出すパワーメーターがあったとしても、実は「毎回必ず10%ズレた数値を出し続ける」のであれば、それは「計測精度の高い」素晴らしいパワーメーターになります。

そして、他人同士、異なるパワーメーター同士で比較することは、「目安」としては良いと思いますが、あまり小さな数値の違いでどうこう言い合うことにあまり意味はないわけですが、自分の過去の数値と比較するという点においては、非常に意味のある取り組みになるわけですね。

インドアトレーナーで計測される値と、ライド中のペダル式パワーメーターの値を比較することには意味はないと思いますが、同じパワーメーターである限りにおいては、「過去の自分と比較してどうなのか」を見える化する機械としては、パワーメーターは素晴らしい機器なんだと思います。

本当に信頼できる指標はできるのか

元記事では最後に、「心拍数を加えるとより詳細な結果が得られる」とまとめています。

確かにパワー値は、パワーメーターの種類や取り付け位置、ライダーのスキル、によって左右される指標ではありますが、パワー値に心拍数を掛け合わせると、より精度の高い「ライダーのパワーアウトプット」を計測することができるかもしれませんね。

ただ、心拍については、その日の体調や気温、睡眠時間などによっても大きく左右されるものになりますので、過去の数値と比較しようとすると、より多くの要素を踏まえた分析も必要になりますので、より複雑な分析作業になりそうな気がします。

その中を、日々のライフログで得られる膨大なデータとかけ合わせて、よりわかり易い指標にできると面白いのでしょうが、分析作業が複雑になり過ぎて、出てきた値の正確性を誰も判断できなくなってしまうのでしょうね・・・。

ガーミンの機器を使うと、EPOC(運動後過剰酸素消費)の推定値に基づいて運動負荷を数値化してくれていますが、この時点でも「この数値どうやって活用しようか・・・」と悩んでしまい、使いこなせていませんからね。

何とも難しいものです。

 

 

コメント

  1. より:

    最近、スマホアプリ・バイクメーターをダウンロードして見ると、オプションメニューに、ワットにカロリー等、多岐に渡るメニュー満載でo(^o^)o✧︎*。ロードバイクで100kmで約、1900~2500kcal位(平地のみ)でリカンベントだと1700~1800kcalで、リカンベントの大量温存ぶりは凄いです。大体、200ワット前後で40kmで走れます。ロードバイクだと450ワット前後です。この楽々さは(-_-;)今年の超炎天下で物凄く効きましたが。。。炎天下でロードバイクのクリンチャーでタイヤサイド爆発パンクを経験し、自宅まで35km歩きました。☺️パナレーサーのクローザーplusでしたが、サイドがペラペラなので怪しんで居ましたが、思ってたとおり、サイドcutで爆発パンクになりました。それとマニア(笑)仲間から、26インチリカンベントを6万円で譲って貰って、ロード向けタイヤの適合sizeの無さから、懲りずに又、クローザーplus(^_^;)を買いました。(笑)6万円リカンベントはAmazonのクローザーplusレビューに写真upしておきました。ദ്ദി˶ー̀֊ー́ )(笑)

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