私が住んでいる地区は坂が多く、街行く自転車は8割型電動アシストだったりします。
子供が乗っている自転車ですら、電動アシストだったりします。
ご近所で自転車に乗る時にはミニベロに乗っているのですが、特に運動好きなタイプでもなければ、うんざりするだろうな、という位どこに行くにも坂があるんですよね。
そんなわけで、奥様などは何かと車を使ってしまうわけですが、電動アシスト自転車とかあったら便利だよね、という話が昔からあり、常に気になる存在ではありました。
そんな折、「電動アシスト自転車に乗ってみませんか?」とのお誘いを頂きました。
これは願ったりということで、今回はスタイリッシュなミニベロタイプの電動アシスト自転車「VELMO Q2」のレビューをしてみたいと思います。
ローディーでも楽しめる電動アシスト自転車(VELMO Q2)
1. 丸一日貸し出しを頂いてレビューできることに
最初はお店にお邪魔させて頂いて、ショップの周囲を走ってレビュー、という一般的な試乗を想定していたのですが、メールでやりとりさせて頂く中で、「普段走っている場所の方が色々なコンディションで試して頂けますよね」という話になり、がっつり貸し出しをして頂けることに。
なんて太っ腹。
私もこれまで幾つものロードバイクを試乗してきましたが、一番参考になったのは、ホイールの貸し出しでした。
こちらも事前予約をすることで1時間半がっつり貸し出して頂ける試乗会で、ショップの立地が普段走っている場所に近かったこともあり、それまで履いていたホイールとの前後比較をかなりみっちり行うことができました。
で満足して、その後購入に至ったわけですが。
勝手知ったる場所を走れるというのは、ほんと有難いですね。
2. VELMO Q2 の仕様について
まずはVELMO Q2 の仕様を見ていきましょう。
サイズ(展開時) | 高さ1090 × 長さ1500 × 幅590mm |
サイズ(折り畳み) | 高さ670 × 長さ800 × 幅405mm |
重量 | 19.8kg |
フレーム | アルミ |
ホイール径 | 20インチ |
タイヤ | INNOVA 対パンク仕様(20×1.95) |
ブレーキ | 機械式ディスクブレーキ |
変速ギア | 7段 |
電動アシスト | 5段階 |
走行距離 | 約35〜60km |
モーター定格出力 | 350W |
モーター型式 | リチウムイオン電池 |
バッテリー寿命 | 約600〜900回(充電回数) |
充電時間 | 3~4時間 |
価格(税込) | 129,800円 |
電動アシストはサイズ、重量ともに大きいというイメージがあったのですが、VELMO Q2 の場合、展開時、折り畳み時のサイズ感は現在保有している DAHON SPEED FALCO とあまり変わらなかったりします。
重量は SPEED FALCO が12kgということで、VOLMO Q2 はバッテリーを積んでいるだけあってどうしても重くなってしまいますが。
むしろお値段が SPEED FALCO プラス3万円という辺りに驚きました。
遂にそこまでリーズナブルになってきたのかな・・・と。
仕様を見てきになったのはこの辺り。
- 重量の19.8kgが実際に走りにどの程度影響するのか
- 電動アシストの自然さ、パワフルさ
- 機械式ディスクブレーキの効き(油圧でない点)
- 走行距離が短いかも?
この辺りは試乗を通してがっつり確認したいと思います。
3. 外観各部を確認
続いて、外観各部を見ていきたいと思います。
どうでしょう。
少し引き気味で見ると、電動アシストっぽさがあまりないのではないでしょうか。
「スタイリッシュ」と自称しているのもこの辺りですかね。
個人的には「VELMO」のこのロゴは好きですね。
アルミフレームならではの溶接跡は「めっちゃ綺麗!」ということはありませんが、このお値段で電動アシストなわけですから、そこまで要求するのは過剰といったものでしょう。
折り畳み時に使う各部パーツは、十分な大きさがあって、とても扱い易かったです。
シートポストの固定クランプ。
シートポストにバッテリーが仕込まれている為、盗難防止にロックすることも可能です。
フレームの折り畳み部分。
ロック機能付きですが、パーツに十分な大きさがある為、扱い易いです。
ステムの折り畳みレバー。
ハンドルの高さ調節に使うステムクランプ。
ちなみに、こちらの高さで最も低い位置になっています。
私の身長は170cmですが、一番低い位置でちょうど良いですね。
どうしてもロードバイクに乗る時の癖で、可能な限り前傾姿勢に近づける為に低くしたいところではありますが、この一番低い位置でも十分「アップライト」な姿勢になります。
(サドルよりもハンドルの方が高い位置に来る)
機械式のギアについては、シマノ製の7速用のシフター、ディレイラーがセットアップされています。
親指だけでシフトアップ&ダウンができるシフター。
こちらはディスプレイ。
パワーアシスト(ディスプレイ上の”GEAR”)が5段階で設定でき、プラスボタン、マイナスボタンで調整可能となっています。
慣れれば手元を見ないでも操作できる、十分な大きさのボタンになっています。
速度表示と総走行距離、バッテリー残量が表示されています。
ちなみに、こちらのプラスボタンを長押しすると、フロントライトのスイッチを入れることができます。
走行中にトンネルに出たり入ったりする時には、手元で簡単に設定できるのは楽ちんで良いですね。
ペダルについては、折り畳み時によりコンパクトにすることができます。
折り畳みミニベロの定番機能ですね。
この状態で親指でぐっ、とペダルを押し込みます。
次にペダルをぐいっ、と折り畳むとこんな感じになります。
工具なしに折り畳むことができるのは楽で良いですね。
この機構があるからといって、ペダルを踏んだ時に撓みや緩みを感じることもありませんので、しっかりした機構だと思います。
4. 尾根幹をがっつり走ってみた
それでは今回のメイン。
尾根幹をがっつり走ってみました。
ここはロードバイクでも、ミニベロでも、何回も走った道になります。
(1) 漕ぎ出し
まずは漕ぎ出しですね。
これは電動アシストの真骨頂が発揮されるシーンかと思います。
- パワーアシスト1:
車重を感じさせない自然な漕ぎ出しが可能に。普段乗っているロードバイクの漕ぎ出しと同じイメージでスタートできます。別の言い方をすると、「パワーアシストを感じさせない」自然な漕ぎ出し。これは気に入りました。 - パワーアシスト3:
所謂「電動アシスト」を体感できるレベルに。「おいおい、そんなにぐいぐい行くなよ」という位、ペダルを回すと前に進んでくれます。自然な漕ぎ出しではないですが、とにかく楽ちん。私が知っている「電動アシスト」ですね。 - パワーアシスト5:
「いやいや、そんなに押すなよ」と言いたくなる位パワフルな漕ぎ出し。「そんなに前に進むつもりはないんだけど」という位、前に進んでくれます。
普通に街中を走る利用シーンでは、アシストはミニマムのレベル1で十分でした。
信号待ちで前にローディーがいる状態で下手に最大のレベル5とかにしてしまうと逆に危ないくらい。ローディーは信号からのリスタート時にビンディングをはめに行きますので、スピードに乗るのにどうしてもワンテンポ遅れるんですよね。
普段の癖で同じタイミングでリスタートするとロードバイクに突っ込みそうになる位ぐいぐい走り初めてしまいますので、敢えてワンテンポ遅くリスタートする必要がありました。
車重は19.8kgと重量級(ちなみに電動アシスト界隈では普通の車重)ではありますが、アシストレベル1の段階で「車重8kgのロードバイク」と同じレベルの漕ぎ出しの軽さを実現してくれていますので、ローディーが普通に使うのであれば最低レベルで十分です。
(2) 平坦
平坦になると、ローディー的には物足りなさを感じるのではないでしょうか。
電動アシストの宿命として、時速24kmを超えるとアシストはゼロになります。
途端に車重の19.8kgがずっしりとペダルを通して実感することができるわけで。
ペダルをくるくる回して、時速22〜23kmで走っている間は、アシストレベル1でも「鼻歌歌いながら」走れるレベル。
ただ、これはロードバイクでも同じですからね。その速度域なら鼻歌レベルです。
ロードバイク時の私の巡行速度は28〜30km/hになるのですが、その速度域を維持するのは至難の技でした・汗
時速24kmまではどのアシストレベルでも鼻歌歌いながら走れるのですが、アシストがなくなる時速24kmを超えた途端にペダルが重くなり、それこそ時速25kmを維持するのもしんどい状態に。
体感的には、ロードバイクで40km/hを維持するのと、VELMO Q2 で28km/hを維持するのが同じ位でしょうか。
時速25kmを維持するのは可能は可能ですが、そのまま30分〜1時間速度維持できるか?と聞かれると厳しい感じでした。
アシストがなければ、車重19.8kgのミニベロになるわけですから、そりゃそうでしょうね。
ただ、この時速22〜23kmという速度は、ロードバイクと比べてしまうと遅く感じるわけですが、風景を楽しみながら走ることを考えると、とっっっても快適な速度なんですよね。
若かりし頃にマウンテンバイクにキャリアをつけて、10kg前後の荷物を運びながらツーリングをしていたことがありましたが、その頃は巡行速度は時速20km前後でした。
風景を楽しみながら、移動そのものを楽しむという自分の自転車趣味の原風景に立ち返った気分になり、気分は上々でした。
(3) 上り坂
尾根幹を選んだのは、上り坂が沢山あるからなわけで。
バーミヤン坂含め、色々な斜度でパワーアシストレベルを変えながら走り比べてみました。
- 斜度3〜4%だと、レベル3がちょうど良い感じ。普段のロードバイクで走っているのと同じ感覚で走れる
- 斜度7〜8%だと、レベル5が同じ感覚に
これは、「当該斜度で車重の重さを感じさせずに普段と同じ感覚で走れる」アシストレベルになります。
何が言いたいかというと、「普段と同じようにペダルを回すと、適度にアシストしてくれるけど、それ以上のアシストはしてくれないので、普段と同じように苦しい」レベルなわけです。
必要以上にアシストしてくれない感じですね。
逆に、それぞれの斜度・アシストレベルで「普段みたいに頑張らない」で軽い力(脚の自重だけ使って上げ下げするレベル)でペタルを回し始めると、途端にモーターの力がぐいんぐいん入り初めて、勝手に坂を上がってくれるようになります。
あー、これは人間をダメにするやつや・笑
そりゃもう、エスカレーターですか、という位勝手に坂を登ってくれました。
この感覚は個人的に面白いと感じました。
- 普段と同じように自分の力で同じような速度で坂を登ることも可能。その場合、普段同様苦しいが、車重のプラスアルファはモーターが帳消しにしてくれる
- 自分の体力が尽きて「もう助けて」となった際には、アシストレベルを上げて力を抜けば、勝手にモーターの力で登ってくれる
つまり、ロードバイクと同じように頑張ることもできるし、体力か尽きた時には完全お任せで力を抜いて登ることもできるわけですね。
トレーニングとして楽しむこともできるし、とにかく手抜き(足抜き?)して坂をパスすることもできるわけで。
こりゃ面白い。
(4) 下り坂
自転車趣味の醍醐味といったら下りですよね。
尾根幹ですから、気持ちの良い下り坂も沢山ありました。
で、長い下り坂であれば、時速40km〜45km程度まで上げることはできます。
他方、下り坂でペダルを回して加速することはできません。(そこまで大きなギアがない為)
結果、下り坂が終わると、ぐんぐん速度は下がっていき、自然と時速22〜23kmまで落ち着くことに。
そりゃそうですよね。
ちなみに、ブレーキについては、機械式ディスクブレーキではありますが、十分な制動力がありました。
その気になればジャックナイフできるくらい。
個人的に、油圧ディスクは初動が「効きすぎる」ところがあるので気を遣うのですが、機械式ディスク&重い車重が相まって、動作的にはVブレーキに近い感覚でした。
これは個人的に高評価。気に入りました。
(5) 乗り心地
乗り心地は、一言で「良い」です。
乗り心地を左右する1点目のタイヤですが、これは1.95インチ(4.95cm)と極太。
推奨空気圧も2.5BARと超低圧ですので、そりゃもう「ぼよんぼよん」です。
歩道との段差だって、超快適に乗り越えることができます。
普通、ここまで太いタイヤだと漕ぎ出しはもっと重くなるはずなのですが、そこは電動アシスト。
感覚的には28cくらいの漕ぎ出しの軽さを実現しつつ、ロードバイクに32cのチューブレスタイヤを履かせるよりも数段上の快適性を実現しています。
もう一つの快適ポイント。
VELOのふかふかサドル。
どうしてもポジションがアップライトになりますので、サドルには「どっしり」座る形になります。
すると、長時間乗っているとどうしてもお尻は痛くなってきてしまうわけですが、こちらのふかふかサドルのお陰で、2時間半乗ってもお尻への痛みは全く発生しませんでした。
厚みと幅のあるサドルだとペダリングする際に太ももの付け根が当たってペダルを回しづらくなったりするのですが、こちらのサドルは思いのほかケイデンスを上げて走っても邪魔にならない形状でした。
かといってロードバイクにこういった重量級のサドルをつけようとは思いませんが、パワーアシストがある電動アシストなら気にせずにセットアップできるのが良いですね。
(6) ポジション
製品の位置付け上、ポジションはかなりアップライトになります。
私の身長(170cm)で、ぎりぎり「アップライトと言いつつも、できるだけ普段のミニベロに近い」ところまでハンドルを下げることができましたが、身長の低い人で、できるだけ前傾にしたい!という人には、ちょっと厳しいかもしれません。
普通に通勤・通学、ポタリング目的で使う場合には、どこまでもアップライトなポジションを作ることができますので、「快適なポジション」は簡単に設定できそうです。
(7) バッテリー保ち
公式だとバッテリー保ちは35km〜60km。
我が家から尾根幹往復すると、丁度50km程度。
大丈夫だよね・・・?とドキドキしながら走ったのですが、2時間半、50km走った結果がこちら。
バッテリーのメモリ、一つも減ってないやん・・・。
公式で用意されている、ボトル型の大容量予備バッテリーを使うと100km走れますよ!という話なのですが、ローディーが普段の7〜8割くらいで力を抜いて走ると、予備バッテリーなしでも余裕で100kmは走れるのでは?と思いました。
最初はドキドキしながら残量確認しながら乗っていたのですが、こんなことなら最初から100kmチャレンジとかしてみれば良かったですね。
ちなみに、今回の走行の9割くらいはアシストレベル1で走り、上り坂では斜度に応じてレベル3とレベル5を使い分ける、という走り方をしていました。
5. サマリ
それでは、最初に気になっていたポイント含め、尾根幹を走った後の振り返りとなります。
- 重量の19.8kgが実際に走りにどの程度影響するのか:
パワーアシストレベル1で、自重を相殺してくれる為、とても軽快に乗ることができる - 電動アシストの自然さ、パワフルさ:
街中であればレベル1で十分だし、アシストの効きはとても自然。上り坂を楽して登るのではあれば、アシストレベルを上げれば「くるくる足を回すだけ」でぐいぐい登ってくれる - 機械式ディスクブレーキの効き(油圧でない点):
必要にして十分。不安感は一切なし - 走行距離が短いかも?:
2時間半、50km乗ってもバッテリーは1メモリも減らなかった。公称の数値は、終始パワーアシストを使いまくった場合と思われる為、普段から自転車に乗っていて「それなりに走りを楽しみたい」人であれば、パワーアシストは最低限となり、結果余裕で公称の数値以上の距離が走れそう
今回坂が多い尾根幹を走ってみて実感したのが、パワーアシストのすごさでした。
信号でローディーに追いついた場合、リスタート時は(追突しないように)一呼吸置いてから走り出す必要があり、時速も最大で24kmということもあり平坦路だとぐんぐん置いてかれるのですが、その後上り坂に入ると差は広がらなくなりますし、斜度がきついところだと距離を縮めることだってできます。
で、次の信号待ちで追いつく、と。
ロードバイクのようにスピードを上げることはできませんが、ポタリングとして考えると「どうやってもスピードはそれ以上上がらない」というのが、心に余裕を生み出してくれる為、普段以上に景色を楽しみながら走ることができました。
自転車旅って、これだよなー、という若い頃の記憶が蘇ってきましたね。
それでいて頑張ろうと思えば、それなりに良い運動にもなります。
(時速25kmで走り続ければ、逆にロードバイク以上に良いトレーニングになります・汗)
エントリー向けのロードバイクがどんどん価格高騰していることを踏まえると、ポタリングを楽しみたい!という人には、これからの時代は VELMO Q2 のような自転車の方が楽しいのかもしれないな、と思ってしまいました。
我が家にあるミニベロ、DAHONのSPEED FALCO と入れ替えるのもありかなー、なんて思ってしまいました。
(今年は新車購入予定がある為、今はすっからかんで買えませんが・汗)
奥様用、という言い方にしてしまうのもありかも・・・?
ちなみに、調べたところ VOLMO Q2 を買うなら公式サイトで買うのが一番お得なようですね。(価格リサーチをしている時点で、危ない匂いがしてきました・汗)
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