ロードバイク人気は、日本では既にピークアウトして数年経つようですね。
そのせいなのか、ロードバイクに関連する書籍って、数年前のものばかりな気がします。
ふらっと立ち寄ったブックオフで、数年前のロードバイク関連書籍を買ったこともあり、そんな書籍の中には「ペダリング技術を上げる為には、片足でペダリングをする練習が良い」というものが結構ありました。
私も、引き足の良い練習になるのかな?なんて思って何度か試したことはあるのですが、どうにもぎくしゃくして上手くなれる気がせず長続きしませんでした。
その後普通に3本ローラーに乗り続けることで、昔よりは上手になったとは思いますが。
先月の記事ではありますが、「ペダリングに関して何でも答えるぜ!」という記事がアップされていました。
ケイデンスやストロークについては「その人のタイプによって最適解は異なる」といった記事だったので、「何が何でもケイデンス90!」みたいな記事に比べると納得感があるのですが、片足ペダリングによる練習方法についてはばっさり切り捨てられていました。
何でなの?
■ 片足ペダリングはリスクばかりで良いことは何もない
1. 片足ペダリングについて
以下引用となります。
かつてライダーは、片足ずつを最適化することで、より完璧なペダルストロークを実現するために、多くの片足立ちドリルを行いました。しかし、研究者が実験室で行うような方法(ストロークの上昇相を補助し、正常なバイオメカニクスを維持するために、反対側のペダルにカウンターウェイトシステムを搭載する)でなければ、修正するよりも多くの問題を引き起こす可能性があるとアレンさんは言います。
なるほど。
両足でペダリングを行う場合は、自然とトルクをかけているのと反対側のペダル(引き足側)は自然とペダルが上死点(12時の位置)まで戻ってきます。
よりスムーズに12時に位置まで戻す為には、適度な引き足を使うことでよりスムーズな回転につながるのでしょうが、片足でペダリングを行うと、通常のペダリング時よりも「過剰に」引き足を使って12時の位置までペダルを引き上げる必要が生じます。
この際に、通常はあまり使わない股関節屈筋などの筋肉を酷使せざるを得なくなるのと、ビンディングで固定された足首を痛めるリスクもあることから、怪我のリスクを高めてしまうと指摘しています。
また、クランクが左右つながっていない左右分離型のクランクがあるそうなのですが、ある選手が怪我明けのリハビリトレーニングで6ヶ月間左右分離型クランクを使ってペタリングの練習を行ったものの、通常のクランクに戻した際には元の状態に戻ってしまい、全くトレーニング効果がなかったという研究結果も出ているそうです。
個人的には、トレーニング効果は人によって様々だと思いますし、片足ペダリングがきっかけになって、ペダリングのコツを掴んだという人がいても不思議ではありませんが、「怪我のリスクがある」という点は看過できませんので、無理して片足ペダリングの練習は続けなくて良かったのかな、と思いました。
2. ペダリングにおける最適なストロークについて
せっかくですので、その他にもいくつか紹介しておきたいと思います。
まずは「完璧なペダルストロークというものは存在するのか?」という問いかけ。
20〜30年前には「完璧な円を描くようにペダリングをすべき」という説があったそうですが、そもそも人間の生物力学的に不可能であり、またその必要もないということが分かっているそうで。
では、真円ではない完璧なストロークはあるのか?というと、非常に滑らかにペダルを回転させるライダーもいれば、がっしがし踏みつけるペダリングをするライダーもいる中で、そのどちらが唯一の正解ということはなく、どちらがレースで優勝してもおかしくないとのこと。
何て身も蓋もない・・・。
ペダルにかけた力が、無駄なく推進力が変わることが理想であるわけですが、そこには体型や筋肉のつき方などの要素も関わってくるため、一概には言えない模様。
例えばスプリンターのように脚が太く多くの筋肉がついているが故に「脚が重い」場合には、脚を持ち上げる為により多くのエネルギーを必要とすることになる為、アップストロークとダウンストロークではパワーにばらつきが出やすくなります。
他方、悪路を走るマウンテンバイクのライダーの場合、ストロークにバランスよく力を加えないと悪路でのトラクションを維持することができなくなる為、アップストロークとダウンストロークのパワーのばらつきは少なくなります。
走る場所や走り方、体型などによって違いも出ることから唯一無二の正解はなく、その人に合った無駄のないペダルストロークを模索する必要があるわけですね。
3. ペダリングポジションと膝の痛みについて
基本的にポジションが合っていないと膝に痛みが出るリスクが高まります。
他方、これは私自身も経験したことではありますが、人間ってよく出来たもので、ちょっとくらいポジションが合っていなくても、膝に痛みなんて出ないで走れたりするんですよね。
ただ、普段は痛みはなくとも、ハードなライドやトレーニングで頑張り過ぎてしまうと痛みが出てきますので、「ある日突然痛みが出た!」という場合には、そもそもポジションが合っていなかった可能性があります。
他方、対して頑張って乗ってもいないし、長距離乗ってもいないにも関わらず痛みが出る場合は、よほどポジションが合っていない可能性がありますので、速攻確認した方が良いわけですね。
4. 最も最適なケイデンスとは
これは私も初心者時代に振り回されました・汗
ケイデンスセンサーを導入するとすぐに確認できるようになる数値であるが故に、気になってしまうんですよねー。
いちおう、科学的分析に基づくと、90rpmがスイートスポットになる、という結果は出ているのですが、それはあくまでも「多くのトレーニングを受けたサイクリスト」の結果であって、趣味で自転車に乗る人にも当てはまる数値ではありません。
そんなことも知らずに、「目指せケイデンス90!」とライドに出かけては、後半ぐだぐだになることが何度あったことか・・・。
また、より事態をややこしくする要素として、多くのライダーは最も効率の良いケイデンスよりも「高い」ケイデンスを好むという研究結果も出ているそうです。
基本的に、自分が最も心地よく、長く持続できるケイデンスで走るのが「最も効率的」という数値になりますが、以下が目安として提示されています。
- よくトレーニングを積んでいるサイクリストの場合(=心肺機能が一定程度鍛えられている場合)
速筋タイプ:85〜90以上
遅筋タイプ:95rpmrpm - そこまでトレーニングできているわけではない場合(=心肺機能がそこまで鍛えられていない場合)
速筋タイプ:75〜85rpm
遅筋タイプ:85〜90rpm
ちなみに、短距離よりも長距離の方が得意な遅筋タイプの私の場合、82〜83rpmが最も「楽ちん」だったりします。
5. 楕円形チェーンリングって意味あるの?
個人的にここ何年も気になっていつつ手を出していないのが楕円形チェーンリング。
愛用者は結構多いのでは?と思います。
こちらについてはちょっと興味深くて、2021年の研究において「実験室で訓練を受けたサイクリストのグループにおいて、エネルギーを節約したり、パフォーマンスを向上させたりしないことが判明」しているそうです。
他方、ある「ダウンストロークの12時から2時にかけてのペダリングが上達しないサイクリストが、Qリングを使うことで解消され、FTPが30W向上した」という実例もあるそうです。
もしかするとですが、そもそもペダリングが上手な人にとっては改善効果はないが、ペダリングに穴があるサイクリストの場合、綺麗に欠点を補完してくれる可能性があるツールなのかもしれませんね。
ということは、私の場合Qリングを導入したらFTP向上するかも・・・?
何事においてもそうですが、「合う / 合わない」がある以上、自分に最適なものは自分で模索する必要があるわけですね。
(その過程において、プロのフィッターや先輩ローディーに支援してもらうというのも効果的なんでしょうね)
身も蓋もないとは思いつつも、片足ペダリングの記事については、とても参考になった記事のご紹介でした。
コメント
宇都宮の増田選手が最近のライドオンで片足ペダリングは効果があると言ってましたよ、片足ペダリングで日本チャンピオンになったと
>コウ猫さん
結果を出している方の発言は、それはそれで重みがありますよね。
筋肉の付き方が人それぞれだから、効率が良いといわれるポジションがマッチするのはあくまで効率が良いフォームを練習した人なわけで、変な筋肉の付き方動かし方に癖がある人は、やっぱり変なポジションが一番痛くならないわけです。
理想のポジションに合わせてフォームを矯正するのか、今の体に合わせてポジションを修正するのかは、人それぞれですね。
あと、足裏や手のひらは、年を取ると血管が脆くなり痺れ易くなるので40歳を過ぎたら過剰なたんぱく質摂取や睡眠不足状態でのトレーニングは避けたほうが良いです。
片足ペダリングは技術の土台が培われてない人ようするに
効率のいいペダリングを知らない人にはもってこいな練習方法です。固定ローラーでブレーキをかけながら360℃力の入力方向を確認していくやり方はどこで踏み何処で踏み終るかの特訓です。そうすると下死点まで踏んでしまうクセがなくなっていくのです。