慢性腰痛の心理的要因について(ストレスで腰が痛くなる)

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ロードバイクには楽しく乗りたいものですが、体の痛みがあると苦行になってしまいます。
ロードバイクの場合、前傾姿勢を取ることから首や腰に痛みがあると長時間のライドはしんどいですよね。

そこそこのお年頃になると腰痛持ちの方って多いと思うのですが、腰痛には色々な原因がありますが、ストレスも一つの要因となっているそうで。

腰痛の精神的側面を指摘する研究が近年増えてきているそうです。

■ ストレスが腰痛を引き起こすケースがある

1. ストレスが腰痛を引き起こすメガニズム

ストレスと腰痛の関係については昔から言われていたそうなのですが、そのメカニズムが明らかになってきたのは比較的最近なんだそうです。

結論を言ってしまうと、長く続くストレスによって脳に変化が起こり、本来感じないはずの痛みを感じるようになってしまうのだそうです。

個人的に興味深いと思ったのは、慢性的な腰痛の大部分は「痛みが続くことへの恐怖を助長する精神的なプロセスによって引き起こされてしまう」という点です。
一度痛みを経験してしまうと、「またあんな痛みを経験するのは御免だな」という思いが出てきてしまい、その恐怖が膨らみ続けることによってそこにありもしなかった痛みが生じてしまう、というものです。

こういった心因性の腰痛になってしまうと、痛み止めといった薬では全く効果が出ないことになってしまいます。

2. 臨床試験

そういった事象が明らかになってきたのも比較的最近だそうです。

海外のある研究では、グループを二つに分けて臨床試験を実施し、そのメカニズムを明らかにしたそうです。

  • 慢性腰痛を持つ成人151人を対象に臨床試験を実施
  • 第一群に対しては、腰痛に効く薬という触れ込みでプラシーボ薬を投与
  • 第二群に対しては、週2回1時間のセッションを8回を実施
  • いずれについても4週間の臨床試験を実施


心理的な要因ということですので、いずれについても「心理的な働きかけ」をしたわけですが、その内容が異なるわけですね。
シンプルに心理的な要因なのであれば、「この薬で治るはず」というプラシーボ作用に訴えかけるだけでも回復するはずなのですが、第一群について治療後に痛みがなくなったのはわずか20%に過ぎなかったそうです。

第二群のセッションについてですが、そもそも参加者に「なぜその痛みがあるのか」を問いかけると多くの人は「怪我や筋肉量の低下が原因である」と感じている人が多かったそうなのですが、セッションを通じて「痛みが生じることに対する不安や恐怖」について話し合い、それらが腰痛とどのように関係しているかを理解させるように取り組んだ結果、66%の参加者が治療後に痛みがなくなったと答えたそうです。

痛みと恐怖や不安との関連性を本人に理解させる方向にシフトすればするほど、背中の痛みは現象したということで、自分の中で痛みに対する理解が深まるほどに、脳内の痛みの経路を抑制することに成功したわけです。

3. 心因性腰痛の見分け方

原因が心因性のものであることから、心因性腰痛をはっきりと診断するのは難しいそうで。

椎間板ヘルニアや圧迫骨折などの背骨の病気や筋肉のこわばりなど、比較的診断がつきやすい痛みが無いかを調べ、選択肢から除外しつつ心理的な負担や本人のネガティブ度合いを調べるテストを経て総合的に診断されるそうです。

なかなか素人判断で簡単に決めつけることは難しそうですね・・・。

ただ幾つかの兆候はあるそうです。
物理的な痛みであれば、「この姿勢をすると痛い」といった特徴があり、痛みに一貫性があるケースが多いそうなのですが、心因性腰痛の場合は「よく分からないけどずっと痛い」というケースが多いそうです。

また、痛みの傾向も鋭い痛みや刺すような痛みが出ることは少ないそうで、痛み止めを飲んでも効果が少ないそうです。

痛み止めの効果が薄いというのは、先のプラシーボ薬を使った実験にも通じるものがありますね。はは

4. 治療方法について

先の実験にもありましたが、治療方法は「痛みに対するメカニズムを理解する」ことが重要となります。

認知行動療法と呼ばれる心理療法になるそうで、その内容は「痛みに対する考え方や捉え方を変え、痛みを自己管理できるようにする」といったものになります。

当然専門家にかかるのが一番なのですが、一度経験した痛みの記憶がありもしない痛みを作り出してしまうことがある、という事実を理解することから始めるのが重要となります。

ロードバイクに乗っていると腰を痛めることもあると思いますが、その痛みが完治した後にも「またライド前にあんな痛みが出たら嫌だな」「次のロングライドでまた腰を痛めたりしないかな」といったネガティブな感情が、心因性腰痛を引き起こすことがあり得るということを常に頭の片隅で意識しておくことが重要そうです。

ちなみに、こうした痛みは腰痛だけではなく、背中や膝、首や肩の痛みとして出ることもあるそうです。

ここ最近首の痛みが長く続いているのですが、もしかすると心因性のものかも・・・?

コメント

  1. 今老爺 より:

    以前にも投稿したかもしれませんが「四十肩で腕が・・・」と同僚にいったら
    「サバ読みすぎ!」と言われてしまった我々世代では立ち仕事をしてるだけで
    自然発生的に腰痛が発生するのに座ってるせいなのかライドでは発生しません。
    テレビのBS放送を観ていると老人向けのサプリや薬のCMが多く宗教団体同様
    「このまま放っておくと大変な事に・・・」と弱みに付け込んで勧誘しますが
    ロードバイクに貢ぎ込みすぎて首が回らないお陰か被害に遭わずに済んでます。
    ちなみに・・・考え方や捉え方を変える事によって改善が期待出来る様ですが
    認知行動療法は忘れようとして思い出せない認知症予備軍にも有効でしょうか?

  2. おとーさん より:

    >老爺さん
    認知機能が低下すると腰痛が解消される・・・かどうかは、本人ですら認知できないのかもしれないですね・・・。

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