以前に比べると「中華製」と一括りにして「低品質」と決めつけることはできなくなってきましたが、それでもまだまだ怪しい製品は沢山あります。
そんな怪しげな中華製品を、スペシャライズドと Ali Express の協力を得て一斉摘発することに成功した模様です。
素晴らしいです。
スペシャライズドが過去最大規模の偽造製品の一斉摘発に成功

まずは事件の概要から眺めていきましょう。
事件の概要
スペシャライズドは、中国当局とECプラットフォームの Ali Expressと協力し、中国国内の大規模な偽造自転車パーツ製造拠点2か所を一斉摘発しました。 作戦は2025年3月に実行され、7人が逮捕・起訴されるなど、自転車業界でも「史上最大級」と言われる規模の摘発となりました。
押収品の内容と規模
押収された偽物は、スペシャライズドのTarmac SL8フレームやRovalのハンドルバー・ホイール、シートポスト、フォーク、さらに約9,500セットのロゴステッカーなど、多数のカーボン製品です。 これらの違法製品は、いわゆる「市場価格」にして約110万ドル分のスペシャライズド製品と、他ブランドを含めると総額約160万ドルに相当するとも報じられています。
他ブランドへの波及
摘発対象にはスペシャライズドだけでなく、Pinarello、Cannondale、Cervélo、Trekといった有名ブランドの偽造フレームやパーツも含まれていました。 これにより、偽造ネットワークが特定ブランドに限られたものではなく、ロード・グラベル問わず幅広いブランドを標的にしていたことが浮き彫りになっています。
偽造品の安全性リスク
偽造品は、基本的にそれだけで「違法」であり「悪」ではあるのですが、最近の中華製品は品質は過去に比べると上がってきている印象ではありました。
とはいえ、今回の摘発で個人的に気になった点として、応酬された偽造品に対してスペシャライズドが品質テストを行ったこと。
スペシャライズドによると、偽物は正規品と違い厳格な品質・安全基準を一切満たしておらず、ユーザーの生命を脅かすレベルの危険性があると指摘されました。
スペシャライズドが実際に偽造フレームやヘルメットをテストしたところ、安全基準を満たさないどころか、テスト中に「壊滅的な」破壊が起きるケースもあったとされ、カーボン製品の偽物がいかにリスクの高い賭けであるかが示されています。
ブランド・EC・当局の連携
今回の成功は、スペシャライズドのブランド保護チームが、Ali Express上の不審な出品をテスト購入して偽物と確認し、その情報をもとにプラットフォーム側と中国当局がデジタル証拠をたどって製造元を特定した流れから生まれました。 スペシャライズドの担当者は、ブランドとテクノロジー企業、法執行機関が連携することで、単に出品削除にとどまらず、偽造品の「工場そのもの」を潰すことができたと評価しています。
スペシャライズドのグローバルブランドプロテクションマネージャーは、ライダー保護と偽造品へのゼロトレランス姿勢を改めて表明し、この摘発が世界規模での組織犯罪と戦う一歩だと述べています。
アリババ側の責任者も、プラットフォームの信頼性を守るには出品削除だけでなく、ブランドと協力して物理的な製造拠点を断つことが不可欠だとコメントしている模様。
個人的にはプラットフォーマーは自らの環境で販売される製品に対してもっと責任を負うべきだと思いますし、SNSを通じた闇バイト問題のように、自サイト上で収益を得ている広告に対しても、結果責任の一端を担うべきだと考えています。
今回は正直、「あのパチもんだらけの Ali Expressが動いたの!?」と正直驚いてしまいましたが、こういったアクションはとても評価できるものです。
今後もこういった取り組みはじゃんじゃん続けて欲しいですね。

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