現在愛用しているビンディングペダルはワフーのスピードプレイペダル。
使い始めて2年ほどが経過しています。
それまでは、トゥークリップから始まり、シマノのクリッカーペダル、SPDペダル、TIMEと使ってきました。
シマノのSPD-SLという王道を避けているのは、単に私が天邪鬼だから、ということもあるのですが、「膝に優しい」「歩きやすい」という価値観を重視した結果、SPD-SLが選択肢に入らなかったから、というのが最も大きなポイントになっています。
当初は歩きやすさからSPDペダルを選んでいたわけですが、その後は歩きやすさにはある程度妥協しながらも膝への優しさからタイムペダルを経てスピードプレイに辿り着きました。
スピードプレイを使ってからというもの、「他のペダルも使ってみようかな」という浮気心は一切なくなりました。
歩きやすさと膝への優しさを考慮すると、これ以上の選択肢はないのでは、と考えています。(幻となったタイムのCYCLOシリーズには期待していたのですが・・・)
そんな私が唯一気になっていたのが、ワフーから出たパワーメーター付きペダルである、パワーリンクゼロ。
過去には海外記事をまとめたこともあり、常にウォッチしてきました。
ただタイミングの悪いことに、丁度新しいロードバイク購入のタイミングと重なってしまったこともあり指を咥えて眺めるだけだったところ、この度「試しに使ってみませんか」という有難いお言葉を頂くことができましたので、みっちり1ヶ月間使った結果をレビューとしてまとめてみたいと思います。
やっぱり、スピードプレイって良いわ。
※ 2023/09 追記 ※
結局気に入ってしまい、その後自腹購入してしまいました・・・。
■ ワフーの両側計測式パワーメーター スピードプレイパワーリンクゼロ(製品レビュー)
1. 外観と重量
こちらがパワーリンクゼロ。
スピンドルに計測用の機器がついている分、ずんぐりした印象ですね。
比較すると、ノーマルのスピードプレイゼロがとてもすっきりして見えます。
ロードバイクのコンポーネントにつきものの重量測定。
左ペダルが138.4g。
右ペダルが138.1g。
公称はペアで276gということですから、誤差0.5g。非常に優秀ですね。
2. 機能性
続いて機能性について。
カタログスペック的な機能仕様としては、こんな感じになります。
- パワーの計測誤差は±1%。正確な測定精度
- パワー測定は両側で行うことで、パワー、ケイデンス、左右バランスのデータを取得可能
- 専用のワフーフィットネスアプリと連携することで、キャリブレーションやバッテリーの確認を簡単に行うことが可能
- 温度補正を行うことができる為、標高や気温の変化が激しいサイクリングでも正確なパワーデータを記録可能
以下気になる点を個別に見ていきたいと思います。
(1) 通信方式
通信方式は ANT+とBluetoothということで、パワーメーターとしては一般的なものを採用しています。
3つのBluetoothデバイスに同時接続しながら、無制限にANT+デバイスにブロードキャストすることが可能となっています。
試しに、ワフーのサイコンとガーミンのデバイスの両方に同時接続してみましたが、問題なく接続でき、走行中も安定していました。
(2) 取得可能なデータ
取得可能なデータはパワー、ケイデンス、左右バランスということで一般的なものとなっています。
ガーミン含め他社競合製品ではサイクリングダイナミクスなどより高度なデータ取得が可能となっていますが、ワフーとしては当該データの「実用性/有用性」はそこまで高くないという理由から、採用を見送ったとのこと。
私もトルク分布とかのデータを見ると「なんかすごいな」とは思いますが、あの結果を実際に活用できる人がどの程度いるのかとか、そもそもトルク分布のデータ測定精度が信頼に足るものなのか?という点については疑問符を投げかけることもできるわけで。
いやいや、他社追随したくないワフーの「言い訳」ではないか、というツッコミもあり得るのですが、私のような週末ローディーとしては必要性はあまり感じないというのも事実ですね。
(3) 左右バランス
そんな中、気になるデータはやはり「左右バランス」でしょうか。
これまではずっと左側で計測するタイプのパワーメーターを使ってきました。
当然、左右でペダリングの癖は違うでしょうから、左右のバランスが必ずしも同一とは限らないわけで、だとすると、左側で測定できたデータを単純に2倍にした計測方法は必ずしも正確とは言えないことになります。
自分の過去データとの比較という意味ではそれでも十分だとは思うのですが、できることなら片側計測よりは両側計測の方がより正確なデータが取れるわけで。
そんなわけで両側計測にはずっと憧れがありました。
(4) スタックハイトとQファクターについて
パワーメーターそのものの機能というわけではないのですが、スピードプレイの場合はノーマルのペダルとパワーメーターペダルとでは、スタックハイトとQファクターが変わります。
スタックハイト | Qファクター | |
スピードプレイ ゼロ |
11.5mm | 53mm |
パワーリンク ゼロ |
13mm | 55mm |
Qファクターの違いについては、スピードプレイのクリート位置を調整すればある程度吸収できますのでそこまで気にする必要はないと思いますが、スタックハイトについては折角の低スタックハイトが、と思う人はいるかもしれませんね。
実際にこの1ヶ月間パワーリンクゼロで乗った感覚からすると、1.5mmのスタックハイトの違いはギリギリ許容範囲かな、と感じています。
スタックハイトが上がるのであれば、サドル位置もそのまま上げないとポジションが変わってしまうことになります。
他方、サドルポジションを上げればペダル周りは従来のポジションを維持できることになりますが、ハンドルは低くなることになるわけですが、ハンドルの高さを1.5mm変更するというのはなかなかできるものでもなく。
Qファクターについては、クリートの取り付け位置を微調整することで何も問題なく乗っているのですが、スタックハイトに関しては、いったんそのまま受け入れることにしてサドル位置は変更しないことにしました。
過去、ポジション変更でサドル位置を2mm変えたらペダリングがそこそこ変わった経験がある為、2mmの差は大きいと感じていたのですが、1.5mmはギリギリ許容範囲だったようです。
3. バッテリー
パワーリンクゼロは充電式のパワーメーターとなります。
(1) バッテリーライフ
バッテリーライフは公称で最大75時間。
この1ヶ月間乗った限りでは、まだバッテリーは半分近く残っていますので、私のような週末ローディーにとっては十分なバッテリーライフと言えるでしょう。
(2) 充電方法
続いて充電方法について。
二股のUSB-Cタイプの充電ケーブルが付属しています。
USB-Cの先端に専用のアタッチメントを取り付けて充電する方式になっています。
ペダルの根本にある電子接点。
こちらに接続して充電する形となります。
まずは分かりやすく、車体に取り付ける前に充電してみました。
こんな感じですね。
ただ、ちょっとプラスチックが固いようで、ぐいっ、と押し込んではめる時にちょっと不安を感じてしまいました。
今時なので、ここはマグネットタイプでぺたっ、と接続するとか、もう少し工夫があると良かったかな、と思います。
充電の状態はLEDで表示されますので、とても分かりやすいです。
点滅している時は充電中、点滅が止まったら満充電となります。
満充電されると、5秒経って点灯も消えるようです。
ちなみにバッテリー残量が減ってくると、赤く3回点滅して教えてくれます。
当然ですが、ワフーのスマホアプリでもバッテリー残量を確認することができます。
スマホアプリを立ち上げます。
パワーメーターに接続しに行こうとしますので、ペダルをもってぐるぐる回転させてあげます。
LEDが青く点灯しますので、しばらくするとスマホアプリと接続してくれます。
左右ともにまだ70%バッテリーが残っていますね。
4. 測定値の比較と傾向
それでは、実際にこの1ヶ月間乗ってきたデータを確認しながら、データの測定値を見ていきたいと思います。
そもそも私が今まで使ってきたパワーメーターは片側測定タイプとなりますので、両側測定タイプのパワーリンクゼロと単純比較しても「データの測定値が違うね」で終わってしまいます。
今回は、今まで知ることのできなかった左右バランスについて見ていきたいと思います。
(1) ローラー台
まずはローラー台での測定結果について。
ライドタイプ | 左右バランス |
屋内・インターバル(80min) | 53:47 |
屋内・SST(60min) | 51:49 |
屋内・ベース(60min) | 50:50 |
結構分かりやすい結果が出ました。
がしがしもがいたり、トルクをかける必要のある乗り方をすればするほど、左右バランスが崩れていくようです。
ローラー台ですので、基本常にペダルは回しっぱなし。
あまりトルクをかける必要のないベーストレーニングを行った時には、綺麗に左右バランスは50:50になっていました。
なんだ、自分結構やるじゃん、と思ったところですが、その後トルクをかけた乗り方をするに連れ、左側に強くトルクをかける傾向があることが分かってきました。
これは私の癖なんでしょうね。。。
今回初めて理解しました。
(2) 実走
続いて実装の結果で見ていきたいと思います。
ライドタイプ | 左右バランス |
ロングライド(100km) | 58:42 |
ショートライド(50km) | 55:45 |
ショートライド(40km) | 55:45 |
私の場合、ペダリングを止めている時には、左側のペダルを下げてそちらに荷重する癖があるのと、信号待ちでクリップアウトするのは左側で、走り出す際にはクリップインとともに左側に荷重してから走り始める乗り方をしていますので、実走においては左側の方に偏るだろうとは思っていましたが、ここまで差が出るものなのですね・・・。
距離が長くなるほどに左側に偏って行っているようで。
本当はもっといくつもデータを比較したかったところなのですが、いかんせん暑くて外に走りに行ける日が少なく・・・。
なお、「そもそも比較にならんやろ」と思いつつも、片側測定式のパワーメーターと数値を比較してみました。
私が最も使っているデータであるTSSについては、誤差は3〜5%程度ありました。左右バランスの誤差からすると、そりゃそうだよね、という結果に。平均パワーや最大パワーはもう少しぶれ幅が大きかったです。
たかが数%ではありますが、片側と両側では、そこそこの違いにはなるんだな、というのが今回よく分かりました。
5. サマリ
なお今回は敢えて触れませんでしたが、スピードプレイとしてのレビューについては過去にまとめたものがありますので、そちらをご覧頂ければと思います。
また、私は片側計測タイプのパワーメーターしか持っていませんでしたので触れていませんが、そもそもパワーリンクゼロの計測精度はどうなの?という点については、海外の有名レビュワーによるディープなレビューがありますので、そちらを参考にして頂ければと思います。
結論としては、「優秀な計測精度で問題ない」という内容になっています。
その他の海外レビューを見ても共通して見て取れるのは、結局、「スピードプレイのペダルタイプでパワーメーターが欲しいか否か」に尽きると思います。
私のようなスピードプレイ愛好家(もう他に浮気する気がない)であれば、迷わずにパワーリンクゼロ一択になると思います。
これが、シマノコンポを使っている人であれば、クランクタイプで4iiiのように安価なものを探すことも可能ですが、私のようにスラムを使っている場合、両側計測タイプのパワーメーターを購入しようとすると、クランクタイプもそこそこのお値段になってしまいます。
それならスピードプレイのペダルタイプの方が良いよね、というのが正直な印象ですね。
さてさて、約束の1ヶ月間も経過して返却しないといけないわけですが、いっそこのままぽちっ、と行ってしまうかどうか、かなり悩んでいます。
いやー、良いわパワーリンクゼロ。
ちょっと懐事情と相談してみようと思います。
懐が寂しいのは変わらずでしたが、結局購入してしまいました。
実際に使ってその良さを実感してしまう、そりゃもうダメですよね・・・。
コメント
おとーさんが、例えば右足クリートの前後位置を踵寄りにすると右パワーが出易くなり、結果左右差も縮小します。
左右バランスの差は、足の使い方というスキルもあるけれど、脚長や足サイズに左右差があっての差かもしれません。
私自身は50:50に拘らず、自分の傾向から外れる日があったなら、体からの何らのサインと思い、気をつけています。
>鬼のパンツさん
なるほどです。左右で微妙に足の長さも違いますし、クリート位置も微妙に違いますから、あり得る話ですね。
仰るように「普段との違い」をみていくのが1番ですね。